『私が月岡嵐だが。朝っぱらからうっせーなー 』

挑発することは忘れずに

「お前が月岡嵐…」
「女の子とは意外なのな」
「女の子でも、沢田綱吉を匿うなんて最低だよ!」
「そうよ!夏穂を傷つけた奴を…!どうせアンタも沢田みたく誰とでもヤりたがる尻軽なんでしょ!」
『文脈がなってねぇぞチリ天パ』
「ち…っ!?」

思いがけない暴言に月岡に罵られた女生徒、黒川花はカッと頭に血を昇らせた。友人を、同じ君島夏穂を守る信者仲間を馬鹿にされたからか他の3人も射殺さんばかりに月岡を睨み。それでもこれっぽっちも怯まないのだから、彼女の鋼の心には恐れ入る。
ニヤニヤと笑っていれば月岡の胸ぐらを掴み殴ろうと銀髪、獄寺隼人が腕を振り上げた。しかしそれを振り下ろすことを良しとしないのが2人。

ガッ

間に入るようにして獄寺の腕を松浦が掴んで防いだ。横には安達も立っている。鉄壁が出来上がっていた。

「まったく…。あまりヒヤヒヤさせないで下さい」
『ごめん私素直だから』
「いやぁ嵐は素直なんて可愛いもんじゃねーだろー 」
『なんだと』

心外だと言わんばかりにぷりぷりと怒ってみせるがそれはもちろん冗談の範囲内。けれど今、進行形で冗談が通じない相手が目の前にいるワケで。そもそも“冗談”をA組の連中に言ったつもりはないが。
獄寺が松浦に掴まれていた手を感情に任せて振り払った。

「ハッ、とんでもねー尻軽みてぇだなテメェ。ンな男侍らせて楽しいか?」
「沢田を匿うだけはあるのな。どうせその2人も交えて毎晩乱交パーティーとかしてんだろ?マジ気持ち悪いのな。死んでくんね」
「山本くんの言う通りだよ!同い年の女の子とは思えない…。アナタなんて生きてる価値ない!」
「そうよ、人のこと簡単に馬鹿に出来るなんてロクな人間じゃないわ…!消えてなくなればいいのに」

一通りの罵詈雑言を聞きながら最後の一言だけ同意する。ロクな人間じゃない。確かにその通りだ。反論の弁も出ない。
けれど思ったよりつまらない状況に、とうとう我慢出来なくなったのか。わめき散らす4人を前に堂々と月岡は欠伸をして見せた。それに呆れるのは松浦と安達の2人だけ。A組s'は当然怒りを顕にし。

「ふざけてんのか!!」
『だってつまんねーんだもん』
「な…っ」
『テメェらの言葉は本っ当に中身が無くて薄っぺらでつまらない。これっぽっちも私の心に響きゃしねぇ。まぁ貧困な語彙力には恐れ入るがな?私だったら今の文字数でお前らを自殺に追い込むことが出来るぞ』

言外に試してやろうかと言っている気がしてゾッとした。真っ直ぐにこちらを見つめてくる瞳が。その力強さが。4人を一様に怯ませる。

ああけれど怯んではいられない。彼女の、君島夏穂の安寧の為に危険因子は始末せねば。彼女の為に。彼女の為に。彼女の為に。それだけがただ頭の中で木霊する。揺るぎない信念であれと。じわじわ体を侵す病のようだ。
獄寺が、そして山本が松浦と安達を振り払い月岡に攻撃を加えようとじり、と足を進める。

「ねぇ、何群れてるの」

捕食者が真後ろに現れた。


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