校内に入り下駄箱を見るが定番の生ゴミや画鋲は仕込まれていなかった。

「写メ撮る気満々だったのに…」
『それをTwitterやFacebookとかに上げんだろ?』
「炎上間違いナシだぞ」

無論安達を擁護するコメントでだろうが。悪い意味でもそれはそれで楽しそうだとは誰の考えか。

荒らされているでもなかった下駄箱。そこで上履きに履き替える。スニーカーを持ち歩くべきか俊巡する。が置いておくことに決めた。何かあればそれを全て証拠に取っておくだけだし、今日は全員古びたスニーカーにしてきた。駄目にされて困りはしない。


針のむしろという状況の中狼狽える事なく廊下を進み階段を登り。いざB組の教室へ辿り着きドアを開ければクラスメートたちの目が一斉に向いた。
困惑、驚愕、疑問。それと呆れ。どうやらB組の連中は月岡たちに対して敵意は無いらしい。

『うぃーっす』
「はよざーまーす」

普段と変わりなく挨拶してみれば戸惑いながらも数人が返してくる。何割かは安堵の息を吐いたことから、ツナを匿っているという話が嘘だと思っていたのだろう。いつも通りなのを見てそう思い至ったようだ。
各々の席へと着けばすぐ様クラスメートの1人が話し掛けてきた。

「なぁ月岡 !」
『はよっス』
「はよ。じゃなくて!アレ、あの噂!お前ホントなのかよ!?」
『ついに私が漆黒の使者であることが露見したか…』
「中二病はいいから!そうじゃなくて今話題の「月岡 嵐ってヤツはどいつだ!! 」

クラスメートからの質問を軽口で返してやろうとすれば勢いよく教室のドアが開かれた。あまりの音に生徒の何人かは大きく肩を跳ねさせていた。可哀想に。

『朝っぱらからうるせぇなあ…』

爽やかな朝などという表現とは真逆の騒がしさに顔をしかめる。開いたドアの方を見ると銀髪と黒い短髪の男子2名と女子が2名、随分と物騒な顔つきをして立っていた。
ありゃ入店拒否レベルだなと考えながらリュックを置く。ついにお出でなすったボンゴレ(仮)ご一行ににやつきを抑えられない。呆けたままのクラスメートに声を掛ける。

『なあ』
「え?」
『さっきの質問だが、ありゃ残念ながら事実だ』
「は!?」

個人的には全く残念ではないけれど。
自分の机から離れ彼らの前に立てばワックスの効いた床がきゅっと鳴る。さてさて、この信者どもは何をして見せてくれるのか。


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