テーブルいっぱいの紙。ノートパソコン。そしてそれを取り囲む4人の男女。まるで本当の作戦会議のようだ、とツナは思った。まるで、ではな月岡たち3人はそのつもりなのだけれど。

『なら雲雀もこっちと近い状況か…』
「えぇ。やはりテレビや動画などはあまり見ないようですね。かと言って原因を確定出来たワケじゃないですけど」
「今のところあの状態に陥ってない2人の共通点がテレビ見ない、じゃなぁ」
『だがこれで大分絞れる』

自分には何が何だかサッパリだ。詳細を聞いていないからというのもあるだろうが、何よりやはり月岡の才だろう。得ることの出来たたった1つの情報から100の可能性を見出だす。かつて自分の右腕を名乗っていた獄寺も頭が良く天才と思われていたが月岡はその上を行く。言うなれば鬼才。そんな人とこうして知り合えたのは奇跡に近かった。そして彼女が敵でなくて良かったと心から思う。こんなの勝てっこない。

「あの、」
『なんだ』
「どうした」
「如何しました」
「えっと、オレにも詳しく教えてくれない…?」

一応は当事者であるのだ。彼女らが何を知り、しようとしているのか。把握しておくべきだろう。指示を仰ぐように松浦と安達が月岡を見る。
一拍置いて彼女が口を開いた。

『君島の』
「…うん」
『親が、映像作成会社を経営していると分かってな。そこから可能性を1つ見出してみた』
「可能性?」
『あぁ。…沢田はサブリミナル効果というのを聞いたことあるか』
「ううん」
「さくっと説明しますと、サブリミナル効果とは潜在意識に働きかけることで表される効果のことです。噛み砕いて言えば催眠術のような」

月岡と松浦がそろって説明してくれるが申し訳ないことに何のこっちゃか分からない。
催眠術と言われてもそんなのテレビでしか見たことがないから重大なことのように聞こえないし、そもそもあまり難しいことを言われると脳がシャットアウトしようとするのだ。大事なことだし自分から聞いたのだからキチンと聞き理解しなければならないのだが…。
様々な理由から困り、眉を下げていれば察した月岡がため息を吐く。

『…まぁ何でもかんでもすぐに理解出来る人間なんてそうそういねーよ。特に沢田はな』
「ご、ごめん…」
『構わん。…カズ』
「あいよ」

安達がノートパソコンを操作し始める。
静かな室内にカタカタ、カチカチ、タンタンと小さな音が響く。何をしているのだろうか? 安達は対面にいる為分からない。いや、パソコン画面が見えていたとしてもきっと自分には分からないだろう。何せパソコンを触る機会と言ったら学校の授業のみ。成績は言わずもがな、だ。
家にあったとしてもガキんちょどもに壊されるだけだろうから別にいいが。ランボやイーピン、フゥ太と遊んだのももう随分昔のように感じる。最近はいないもの扱いされていたから。暴言や暴力も辛かったが、あんな小さい子らに無視されるのも辛かった。

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