『まぁおふざけはこの辺にして。本題に入りたいんだがいいか』
「僕がお目当ての人物と決めつけていいんですか?」
『あぁ。聞いた特徴に全部当てはまってるからな。六道骸だろ』
「クフフ… 疑問形ですらありませんか。いいでしょう、話なさい」
『どーも。じゃ、単刀直入に君島夏穂をどう思う?』

直球すぎる本題に六道骸と断定された少年は瞼をピクリと動かす。恐らくは反射運動に限りなく近いのだろう。けれどそれすらも月岡は見逃さずじっと観察する。そうして骸の、本人も気付いていないような癖を見つけてしまうのだ。
能力だけで言うなら一般人離れしているが身分は完全完璧に一般人。だからこそ彼女は囚われず縛られず生きていられるのだろう。
ふ、と骸が肩の力を抜いた。

「…何とも思っていませんよ、僕らはね」
『その口振りだと並中でのことは知ってるみてーだな』
「えぇもちろん。この期に乗じて彼と契約するチャンスを今か今かと伺っていたのですが沢田綱吉が突然姿を眩ませましてね」
『あぁ、今うちにいんよ』
「…よくもまぁそんなにあっさりと白状しましたね」
『大したことじゃねーからな』

初対面とは思えないほど2人は滑らかに言葉を交わす。君島と接触したことがあるのかないのか。此処での生活状況はどうなっているのか。思った以上にすんなりと骸は答えてくれて。驚くのは骸の後ろの3人。やはりこんなに素直に問いに対して答えてくれるのは珍しいらしい。

その後も二つ三つ質問をして、月岡と安達は帰っていった。鬱蒼とした緑に2人が混ざり見えなくなると、金髪の少年・城島犬は口を開いた。

「骸さーん、なんでアイツらの質問に答えてやったんれすかぁ?」
「そうですね…。クフフ、秘密ということにしておきましょうか」
「えぇーっ!!?」
「…犬、うるさい…」
「なんらよ柿ピー!気にならないのかびょん!?」
「別に……」
「○リカ様気取ってんじゃねーっ!」

ぎゃんぎゃんと一方的に柿ピーこと柿本千種に食って掛かる犬。それは本当に名前の通り犬のようで。
仲が良いのか悪いのか分からない2人をチラリと見ると骸そっくりな容姿の少女・クローム髑髏はそっと骸の隣に立つ。

「骸様…」
「…クフフ」

教えてくれないだろうかと期待を込めて見つめても謎めいた笑いを溢すばかり。どうやら本当に自分だけの秘密にするらしい。こうなっては聞き出すのは無理だ。クロームはそっと彼から目を離し、広い敷地に群がる森林に目をやる。人の気配はしなかった。

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