手入れもされず放置されていたにしては軋む音一つせずドアは開く。廊下や外観と同じく、中も傷んではいたが割れたガラスやコンクリートの破片などの危険物は取り除かれている。
明らかに人の手が加えられ人が住んでいる形跡があり。それらを一瞬で把握、理解すると自分目掛けて飛んでくる何かを素手で掴むと床へ叩きつけた。
ゴシャッ
と同時にそれは壊れ。何だったのかと壊した今になって確認してみると丸い物体に糸が付いている。昔懐かしのオモチャ、ヨーヨー。その糸を辿って先を見てみると武器を構え戦闘体制に入っている男女4人が。内2人はとても酷似した様相をしていた。

『なんだよなんだよ随分とご挨拶じゃねーの。こちとら何もしてねーんですけどー』
「クフフ… 貴女は先手必勝という言葉をご存知ないようですね。それに…何もしていないというのは“まだ”という場合もあります」
『なるほどな。先を考えて行動を起こすのは利口なやつがすることだ。が、しかしその予想が裏切られ私らが肝試しに来たとかいうガチの一般人だったらどうする』
「少なくとも貴女はただの一般人ではないでしょう。なら後は殺すだけです」
『結果論で話してんじゃねーよ!だから頭に草なんか生えんだテメェ』

睨み付けるのはリーダー格らしき少年の頭頂部。つむじ辺りからふさふさと草…ではなく髪が独特な形で整えられている。
断じて草ではない。ヘアースタイルだ。しかし少年を含む4人はよくそのヘアースタイルの事で盛り上がるのか三者三様にリアクションをとった。瓜二つの少女は俯き、金髪の少年は耐えきれず吹き出して笑い、眼鏡の少年は見ない聞かないふりを決め込み。月岡の後ろからも笑い声がする。
そして当の本人はというとー…。

「っこれは草でもヘタでもありません!立派な髪の毛ですっ!!」
『おお、切り返しが早えーな。余程イジられてんだなぁ可哀想に。変えりゃいいのによ』
「僕のアイデンティティーをそうコロコロ変えられるワケないでしょう!」
『アイデンティティーwww 意味分かってんのww 』

指を指してゲラゲラと女らしさの欠片もなく笑う月岡。容赦ないツッコミにまた何人かが笑う。更に怒りを露にする少年が何だか滑稽に見えたのは誰の目か。
まさに爆笑といった感じで笑っていば月岡目掛けてまた何かが飛んできた。それを軽く顔を横にずらすことで回避する。横目でチラリと見てみれば三ツ又に別れた槍のようなもの。視線を前に戻せば一歩ほど間を開けた距離に変わったヘアースタイルの少年が槍の柄を握って居た。
くっと月岡の口角が歪に上がる。

『…っは、短気なやつ』
「散々笑われて怒らないほうがおかしいでしょう…!」

ニヤニヤと笑みの種類を嘲笑へと変え、自分よりも背が高い少年を、見下すように見上げた。珍しいオッドアイと重なる。

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