草木は好き放題に生え、撤去されていない看板やアトラクションは錆び付いており。一目で荒れているのが分かった。
並盛周辺に住んでいれば一度は訪れたことがあるだろう黒曜ヘルシーランド。月岡も小学生の頃遠足で訪れたことがあった。当時もそれなりに楽しいと感じたものだが。思い出を振り返ると今目の前に広がる光景との落差が激しすぎて何とも微妙な気持ちになった。

『栄枯盛衰ってこんな感じか?』
「だなぁ。人の世の儚さよ…」
『誰だよwww 』

けたけたと笑い他愛のないじゃれあいをしながら取り除かれることのない土砂を踏み締め進む。土につく2人分の足跡。それを見てなんとなしに、まるで自分たちが目的も終わりもない旅をする旅人のような気持ちになる。
馬鹿らしいと鼻で笑う。そうであったとしてももう1人いないのが許せない。違和感の応酬。やはり自分たちは3人でいてこそなのだと再確認する。
最早何の生物だったのか理解出来ないまでに腐敗し土へ還ろうとしている動物の死骸や、遊んだ覚えのあるアトラクションが使い物にならない状態で廃棄されている。無機物に心が無くて良かった。こんな風にキチンと処分もされず放っておかれたら気が狂ってしまうだろうに。いや、世の中には九十九神なるものが存在するとかいう話もあるからもしかしたら…。まぁ、目の前で動いてくれなければ信じようもないが。

科学的なものや化学的なものには多く触れてきた。次は非科学的なものに触れてみたい。

『…沢田が言ってたのってあの建物か』
「ん。マップもあそこ指してるし。緯度経度ともにビンゴ」
『そうか。…にしてもよ』
「どしたん」
『こんなん残しておくから不良の溜まり場になんだよって思って。絶対ぇクレームとか来てんだろーに、業者は何してやがんだか』
「アレじゃね?沢田氏の言うように黒い力が働いて…」
『なんだよ何でも有りかよ裏社会って』

一般人への配慮まるでナシか!と安達と2人ぎゃーぎゃー言い合いながら黒曜ヘルシーランドと看板の置かれた建物に入っていく。しっかりと、月岡のことだ細かいところまでこの黒曜ヘルシーランドでのことや荒廃したこの施設の大体の位置などをツナに聞いているだろう。であれば、此処に居を構える人物やその危険性も知っているはず。
当然ツナも聞かれずとも教えているだろうし、止めもしたろう。それでも此処に今月岡と安達がいるのが、制止が無駄だったことを物語っていた。
ツナから散々聞かされているだろうにどうしてこの2人は怯える様子を見せないのか。
高を括っているのか?そんな筈はない。
あれだけツナが口を酸っぱくして言ったのだから。

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