その噂が真実なのかどうか調べたりなど一切せず周りに合わせて周りの意見を鵜呑みにして。そうしたほうが利口だと本能で気付いたのかそれとも合わせなかったせいでハブかれるのを恐れていたのか。
今もどちらかと言えばそうだが、人の意見に流されやすい性格だった為そういうのをすぐに信じてしまっていて。月岡たちの話を聞いて反省した。これでは彼女たちと同じではないか。恥ずかしい。

どちらにせよいつかの彼には申し訳ないことをした。

『ってゆー心理が働いて直接関わりが無いヤツでもテメェを嫌うんだよ』
「…………。」

何も言えなかった。
以前自分も似た行動をしてしまっているから言葉が出てこない。下手したら自身ではない誰かが同じ罪を着せられ暴行を受けていても、それじゃあ仕方ないと思っていたかもしれない。改めて集団というコミュニティが恐ろしいと感じた。その影響力たるや。かの風紀委員長のように単独のほうがよっぽど楽なのかもしれない。
そこでハッとする。
そうだ、あの強力で強烈な人を忘れていたじゃないか。

「雲雀さん…」
『あ?』
「そういえば雲雀さんは、一度もオレを殴ったりとかそういう事無かったなぁって…」

クラスメートにボコボコにされた後、痛む体を引きずるように歩いていれば雲雀に出会ったことがあった。その時はきっとこの人も自分を… と思っていたがそうは行かず。身構えるツナを一瞥してたった一言。

「群れにも弱虫にも興味はないよ」

と。何もされなくて助かったには助かったが、何故だかとても虚しくなった。

『面会わせても咬み殺しに来なかった、ね。シュウ、生存欄に雲雀って追加しとけ』
「はい」

埋め尽くされた死亡欄とは反対に真っ白だった生存欄。滑らかな字でそこに“雲雀”と足されるのを見ながら月岡は それにしても と考える。君島夏穂が何をしたいのかはさておき、まずは味方を増やそうとしているのは理解する。ならば何故雲雀を味方につけないのか。彼はこの並盛における最高権力者。味方につければ少なくともこの地域においての自由は手に入れられる。
戦闘能力も申し分ない。なのに。

出来ないのか、しないのか。その区別を付けなければ。

『よし、ひとまず雲雀に接触してみるか』

ツナが顔色をサッと青く染めたのはシカトする。

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