「沢田さん、とりあえず座ったらどうです?今お茶淹れますから」
「シュウの淹れるお茶は美味いぞー」
『茶だけに限らずコイツは料理全般イケっからな』

もう胃袋掴まれちゃってたーいへん!とハモらせて2人は言う。確かに、今日の昼分けてもらった弁当は目を剥くほど美味しかった。推測の域を出ないが松浦の料理の腕が上がったのは月岡のせいなんだと思う。恐らくは当たりだろう。他人の家だというのに慣れた手つきで茶を淹れ始めているのだから。

「茶葉は何がよろしいですか?」
『オレンジペコーな気分。茶菓子は任せる』
「では昨日のワッフルをリメイクしましょうか」

キッチンの中は此方からは見えないがとても手際よく動いているのが何となく分かる。続いて漂ってくる甘い香りに何故かワクワクと胸が高鳴った。
女子か!と内心でツッコむがこればかりはしょうがない。なんてったって成長期。栄養があって腹に貯まるものには目がないのだ。
促されるまま、月岡と対面する形でソファに座れば程なくして紅茶とワッフルが運ばれてきた。

『うひーっ う ま そ う !!』
「…………。」
『あ、美味しそう美味しそう。だから下げんな』

一旦下がりそうになる皿を必死に止める。こんな美味しそうなものを目前にしてお預けなんて誰だって嫌だ。そのやり取りに、そして久々の甘いものに顔を綻ばせていれば唐突に月岡が言い放った。

『あ、沢田お前とりあえず一週間は学校行かなくていいから』
「えっ」
『何をするにしろまずは怪我を治すことが先決だ。なーに、嫌われ者がいなくたって心配するヤツなんかいねーだろ?』

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