特に変わった様子のない庭。なのに何故か目が止まって。 何があるのかと目を細めて見つめた瞬間、庭の中心で大きなフラッシュのようなものが焚かれました。 一瞬だったので目を閉じる暇もありませんでしたが、シンデレラは大変驚いた様子。それもそのはずです、何故なら光が収まったそこには小さな赤ん坊がいたのですから。

『あら… どなた?』
「オレは魔法使いだ。シンデレラ、お前の願いを叶えにやって来たんだぞ」
『私の願い…?じゃあ継母たちを消「そんなヘビーなのは受け付けてねぇ」 ちぇっ。じゃあ私にドレスをくれない?王子を落としたいの』
「それならお安いご用だ」

ニッと赤ん坊の見た目の割にはニヒルに笑って、自称魔法使いは先端に星のついたステッキを一振りり。 するとどうでしょう、ステッキを振ると同時にシンデレラには小さな星のシャワーのようなものが降り注いだのです。淡い黄色のそれに触れようと手を伸ばせば、ちょんと指先に当たって。雨水のように跳ねたかと思えば何ということでしょう、指先から体全体に衣服が伝っていきました。 頭には繊細な作りのティアラ、髪は自然とアップにされ着ていたボロボロのドレスはあっという間にシルク製のとても美しく上質なドレスへと。 突然のことにシンデレラは驚きを隠せません。わぁ、と声を漏らしながらもくるんと回って自分の姿を確認して。 その様子に満足げに魔法使いは笑うと、次の仕事に取り掛かりました。

『すごい…。こんなドレス着たことないわっ』
「そいつは良かったな。さて、次は馬車だな。とびっきりのを用意するぞ」
『あら、馬車まで用意してくれるの?』
「あぁ、ドレスだけじゃ男を落とすには甘ぇからな。確実にってやつだ」
『さすが魔法使い、狡猾だわ』

ふんわりと、2人の間に漂う空気が大人な気がするのはきっと気のせいではありません。
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