煌々と輝く白亜の城。きっとあの中では美しいドレスを纏った年頃の女の子が楽しく踊っていることでしょう。
『…待てよ?今日の舞踏会って王子の婚約者決めるためのものよね?だからあのカスどもあんなに張り切ってたワケなんだし』
1人ということもあってか俄然口の悪くなってきたシンデレラ。城をジッと眺めていたかと思えばガタンと椅子を鳴らして立ち上がりました。
一体どうしたのでしょう?
『これよ、これだわ!王子を私に惚れさせて目の前で勝ち誇ってやればいいんだわっ!日頃から下に見てた奴に見下される…。これ以上悔しいものはないわね』
何ということでしょう、シンデレラは王子を道具に使うつもりです。 ひいては一国をも復讐の道具として使うことになることをシンデレラは分かっているのでしょうか…? きっと狡猾なシンデレラのことです、全てを把握した上での作戦に違いありません。 しかしその為には城に向かわなければならない…。ということは必須アイテムがあります。
『ドレスか…。』
お城に入り、舞踏会に参加するにはドレスが必要不可欠です。容姿のほうは十分すぎるシンデレラですがこのようなボロボロでみすぼらしい格好では到底中には入れません。 王子様に一目会うことも叶わないでしょう。さて、どうしたものでしょう。
『亡くなったママのドレスを拝借するか…。いや、どうせなら私だけの為のドレスがいいし何よりママのドレスってバストが合わないわ』
はーぁとため息を吐きながら頭を横に振るシンデレラ。何だか失礼な気がするのは気のせいではないでしょう。年頃の少女ならば誰しもが憧れる自分だけのドレス。 ドSで我が儘で自尊心の高いシンデレラはその欲求は人一倍です。しかし、それでは解決の糸口が無くなってしまいます
『いよいよもってどうしようかしら…。』
「困ってるみてぇだな」
シンデレラが途方に暮れていると、不意に誰かが話し掛けてきました。けれども姿は見えません。
誰だろうどこだろうとキョロキョロとして声の主を探していれば、視線はちょうど庭を見て止まります。