昔々とあるところ、とある国にシンデレラという名の娘がおりました。
大変美しく優し… 気に入った人には優しいかもしれないシンデレラは父と母にたっぷりと愛され、どんなワガママでも許してもらえる環境に育ったせいかシンデレラはどのつくS(サディスト)へとすくすくと成長を告げました。 言い寄る男どもを踏みにじって喜ぶ様はとても幼女には見えなかったと当時の人々は語ります。
そんな甘やかしてくれる両親、サディズムを解消出来る男たちに囲まれて幸せに生きてきたシンデレラでしたがその幸せは残念な形で幕を閉じました。母が急死し、父が新たな母を迎え入れたのです。 そこからシンデレラの生活は一変しました。
新しいシンデレラの母はそれはもう意地悪で浪費家。シンデレラの父と再婚したのだって資産家だからというとんでもない理由からです。
そこに愛はありません。
挙げ句継母の連れ子、シンデレラにとっては姉にあたる2人も継母そっくりの性格なのだからたまりません。 自分よりも美しく、良いドレスを着ていることが妬ましかった姉2人はやっとの思いでシンデレラにボロボロのドレスを着させることに成功しました。その瞬間2人は歓喜に包まれたそうです。
ボロを纏い、父に頭を下げられたので渋々嫌々しょうがなくもシンデレラは家事全般を請け負うこととなりました。 そんな可哀相なシンデレラは今日もボロを身に纏っています 。

『前フリが長すぎる。これじゃ読者の心を掴む前に本閉じられるわね』

手厳しくも的確な評価ありがとうございます。本日もお忙しそうですねシンデレラ。

『それは役名で私の本当の名はヒロインよ。…まったく、私こんな服着るの嫌だったのよ? なのにみんなが必死になってお願いするもんだから仕方なく…』

総監督に始まり果てはキャスト一同までもがこの為に頭を下げたと言われています。とんだVIP扱い待遇に喜んで… ではありませんが、了承して下さったようで。 その時誰かが“キャスティングミスだろ”と呟いたのを彼女はしっかりと把握しています。

『はぁ… こんなごっこ遊びじゃなくて本格的なSMプレイがシたいわ…』
「ため息吐きながら言うことじゃねーっ!!」

ばぁん!と壊れそうな勢いで扉を開けたのはシンデレラの新しい母でした。後ろに姉2人を伴いながらだなんて一体何の用でしょう?
あぁ、もしかしてまたシンデレラをこき使うべくやってきたのでしょうか? 今日も今日とてシンデレラの苦労は絶えません。
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