そうすればコクンと頷き。王子に向かって足を差し出しました。

『じゃあ王子さまが履かせて?』

「な…っ 貴様、王子に向かって…!」

「黙れクサカベ。…いいよ、ちょっと待って」

「王子!?」

跪き、顔と同じように汚れてしまっている足を手に取る王子。洗えば、きっと美しい肌になるんだろうなと思いながらその足にガラスの靴を履かせます。
すると何という事でしょう!
靴はシンデレラの足にピッタリとはまったのです!
彼女が持ち主なのだから当然と言えば当然なのですが。大きなリアクションを取ることもせず、ゆっくりと顔を上げシンデレラを見上げました。
彼女は、あの晩見たものと同じ笑みを浮かべていて。

「…君だったんだね」

『そうよ。王子さまったら来るのが遅いんだから。待ちくたびれちゃったわ』

「ごめん。…ねぇ、君の名前は?」

『忘れたりしない?』

「しないよ。僕はキョウヤ、だよ」

『私はシンデレラよ。キョウヤ、私のものになってくれる?』

「うん。僕もこの国も、君のものだよシンデレラ」

まるで誓いのキスとでも言うかのように王子はシンデレラの靴にキスを落としました。
あぁ、とうとう王子がシンデレラのものになってしまいました。恐ろしい少女です、見事継母たちを悔しがらせることに成功し。あまつさえ一国を手に入れてしまったのですから。
これからきっと、シンデレラは王子と幸せに暮らすことでしょう。その幸せが他人から見るとどんな風に映るかなんて、気にせずに。


めでたしめでたし?


終わり
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