※神崎潤様に誕プレとして頂きました。男主×雲雀のほのぼの甘


「あー、くっそ 本当にツイてねぇな」


思わず口に出してしまう程、今日は何事もツイていない日であった。朝からどしゃぶりの雨なのに傘は壊れてて使い物になんねぇからコンビニまで雨に打たれる羽目になった。
これだけならまだいい、更には慌てて家を出たから弁当を忘れて、お袋に頼もうと思って開いたケータイのディスプレイは真っ黒。俺の苛立ちに気付きもしないダチは、彼女の惚気をぶちまけてきて苛立ちは最高潮に達していた。
今日が誕生日だから祝って欲しいと思わないから、せめて普通の日であってくれよ!


気分一転


カーテンを開けても分厚い雲が空一面を覆っていて、激しく降り注ぐ雨粒は窓をブチ壊すかの様に勢い良くぶつかってくる。そんな気分の落ち込む景色しか見えなくて本日何度目かの溜め息と共に憂鬱さを吐き出した。
誕生日だからといってはしゃぐ年齢はとおに過ぎ去ったものの、心の片隅には“誕生日なんだから”という考えがあったりもする。しかし天に居る神サマは俺を見放したみたいだ。

テーブルの上に置かれている充電器付きのケータイはピクリとも動かず鎮座しているままで、それが俺に落ち着きの無さをなくす理由でもあった。
電話を待っている相手は俺ン家から少し離れている中学校に通っていて、相手からつっかかってきたのが出会いだと、今でも当時のことを鮮明に覚えている。すぐムキになって、警戒心が強いのに気紛れ。出会い頭は威嚇する猫に思えた彼が何だか可愛らしくて俺が一方的き絡みに行かなかったら今のような関係にはならなかったかもしれない。


「恭弥、確か今日は遠足行ってるはずだよなあ」
無意識に言葉を吐き出していた。


本人は人と群れるのを嫌ってるし行かなさそうだけど、学校の行事となれば行くのかもしれない。唯一の祝ってくれそうな人物からの連絡は来てなくて、よくよく誕生日を教えたかすら危うい気がしてきた。仮に教えていたとしても彼の性格上、神サマに見放されていなくても望みは薄いものなのだろう。そこまで考えて楽しみにしていた気持ちが一気に萎んだ。騒がしい雨の影響か余計に気落ちする。「つーか、恭弥も恭弥だよな!俺一応恋人なんだし電話の一本や二本ぐらいしてくれてもいいんじゃねぇの?俺ってば愛されてねぇのかも」

「電話の方が良かった?」

「いや、そうでもね……え?」
 
今のは流石の俺でも驚いた。いやだって、いきなり窓開けて立ってる奴が居るんだぜ?それも今までの話の中心人物が。
……ん?待てよ。


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