「ねぇ、そこの君」


聞き慣れない声が廊下を反響して俺の耳へと届いた。恭弥と違って低くない声ではあるが、かといって女子かと問われれば「それは違う」と即座に否定出来る程の高さ。こんな声の主はこの世界へ来る前の友人の中にはいなかっただろう。
ゆっくりと後ろを振り向けば、そこには……恭弥等と同じメインキャラクターの一人、##NAME4####NAME3##がその場に立っていた。
 
どうして生徒が皆授業を受けているこの時間に彼は平然と廊下に居るのか。理由は至極簡単であり、彼が恭弥に次ぐ(いや、それを凌ぐかもしれない)程と称していい並盛の権力者であるからであって、凡人にとっては正直あまり関わりたくない人物。しかし恭弥と正反対に好かれている理由は彼の性格故だろう。
並盛中に通う迄恭弥の書類の手伝いに来ていたのだが、目の前の彼と会う事は一度も無かったのだ。メインキャラクターに会えた嬉しさよりも怖さが先に先行するのが当たり前かなと思うのはオレだけだろうか?



触らぬ隣に祟りなし


漫画ではどちらかと言えば温厚な性格である彼だったが、何しろ見た目がヤバイ。赤メッシュに大量のピアス……不良に見えなくも無い。人間第一印象は見た目で判断されるものなので決してオレが間違ってるとか言えないと思う。しかし顔に関しては群を抜いている辺り、“色んな意味”で常人では無い事を改めて感じさせてくれた。


「えーっと、君何年何組?俺の記憶には無い顔だよね。中3かな?……にしては大人っぽいな」


顎に手を宛てて考える仕草を見せる彼に対し、オレは何をどうすれば良いか判らずにいた。取り合えず早く応接室へと戻らなければ利己的な彼の餌食になる事は確定的なのだが。


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