『どっか行くの?トイレ?』

スプーンもどきを口に銜えながら小首を傾げると、恭弥は両端の口角を上げた。

「此処、クリーム付いてるよ」

『へっ、ど…っ』

ペロリ

恭弥の顔が近づいてきたと思えば…ほっぺを舐められた。これには流石の私も驚きだ。
唖然とスプーンを銜えて呆然とするしかなかった。

『クリーム取れた…じゃなくて、ちょ!恭弥!なんでこんな事するのさっ!
それに此処、人前……っ///』

「アホ面だよ、芹奈。(……甘い)」

火照る顔の私を見てか、恭弥は珍しく声を出しながら笑った。クスクスと忍び笑いする恭弥が余りにも珍しく、そして格好良く、私は更に赤面してしまった。

『(…それは反則でしょっ)』

絶対、その笑みは反則だ。
そして私の頬が林檎の様に赤くなったのは、俗に言う…不可抗力という奴であろう。頭が悪い私にでもこれぐらいは分かる。

「折角のデートなのに、僕以外と喋ってるからでしょ?」

にんまりと深い笑みを浮かべる恭弥に対し、私の顔は再びヤカンの如く。

【パフェ<彼】
彼の言葉の方が、パフェより甘かった。

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