『ねぇ、恭チャン!今日は何処に行く?』
「恭チャン…じゃなくて恭弥。芹奈の行きたい所でいいよ。」
『(少し前からこの呼び方だったからなぁ…)』
私と恭弥は幼なじみ。
家が近かったから必然的によく二人で遊ぶ様になったりして…。
『あっ!そー言えば、今日から並ファ(通称:並盛ファミレス)で新商品の“ナッポパフェ”があるんだった!』
「(ナッポ…)ならそこ行く?」
『うんっ!』
あまり人と関わるのが苦手?な恭弥がそう言ってくれるとは思ってなくて、私は嬉しさのあまり恭弥の腕に自分の腕を絡ませた。
『へへっ』
「何ニヤけてんの。転ぶよ」
振りほどいたりしない恭弥の態度に、更に顔がニヤけたのは言う迄もない。
*****
あまり学校から離れていない並ファ。商店街の所にあるので近くで便利。学校帰りに寄り道している…とは、恭弥には言わないでおこう。
(だって風紀はそう言うのを取り締まるんでしょ?)
カラン
入り口に備え付けられているベルが小さく鳴る。
その音に反応したであろう可愛らしいエプロンを身に付けたお姉さんが、パタパタとこちらへ駆けて来た。
「いらっしゃいませ…っ!に、二名様でしょうか?」
お姉さんは、私の隣にいる恭弥を見れば顔を青くさせて、可愛らしい鈴の様な声を僅かに震わせた。
私が口を開ける前に「少々お待ちください」と言い残し、お姉さんは疾風の如くその場を立ち去る。
『(なんか、あのお姉さん…恭弥に何かされた事でもあるのかな?)』
思い返せば、恭弥と一緒に居れば商店街の道も真ん中がひらく。先程まで賑わっていた商店街が静まり返るので驚きだ。
私自身は何もした事ないし、見覚えも無い。
差ほど気にしなかったのだが…。
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