「芹奈」
「な、何よっ」
急に改まったディーノ。
何さいきなり。今回は土下座したって許さないんだから!折角楽しみにしてたんだしっ!
……とは思いつつも謝ってくれるのかなー?とか愛の言葉囁いてくれるのかなー。とかちょっと期待してみたり。
「俺はな、どっち?つったら勿論ロマーリオひょり決まっ…ひぇる!」
「……へ、」
一番かんじーんな所で舌噛んだよ、この人。(しかも2回も)
しかもめっちゃ言いきったゾ!的な顔しちゃってさー…・・
「あぁ、そう。
貴方の言いたい事は十分分かったわ」
「本当か!?分かってくれたんだなっ!」
「えぇ。ディーノが私よりもロマーリオを取るって事がねっ!」
何さ、「勿論ロマーリオを取るに決まってる!」だって!?
あり得ないっ!私が何したって言うのさ!!
未だ唖然と突っ立っているディーノから顔を逸らし、置いてあったバッグを手に取った。
「……実家に帰らさせていただきます。」
「え、ちょ、……芹奈!?」手を伸ばしたディーノの手をさらりとかわし、家の外へ出るべくリビングのドアへ向かうが……
「芹奈お嬢様。お待ちくださいませ。」
道を塞いだのはロマーリオだった。
「……何か?」
「お嬢様は勘違いなさってますよ。」
「ハンッ、勘違い?
それは貴方よロマーリオ。
ディーノのさっきのセリフを聞いた?私よりロマーリオを取るんですって。」
だからそこをどいて。
強行突破で出ようと思ったんだけれど、ロマーリオがドアの真ん中に立って行く手を塞ぐ。
「ボスはそう言う意味じゃなくって「勿論ロマーリオより芹奈に決まってる」と仰いたかったんですよ。ね、ボス。」
ディーノの声真似をしつつ本当かどうかの確認を取るロマーリオ。似てない彼の声真似に驚いてかそれともまた別の意味があるのか「あ、あぁ!」と間のある返事を返したディーノに私は不審がった。
「、へぇ。けどその肝心な所で噛んだんだから聞く耳持たずよ!」
そもそもディーノと付き合っていても部下が居ない所ではほんとヘナチョコだった。
彼が運動音痴なのは知ってたけどさ、けど……
「仮にそうだったとしても、私と居る時ぐらいちゃんとして欲しい……よ。」
「芹奈……」
ディーノは紳士失格よ。レディーを泣かせて……。
けれど、そうすれば私もレディー失格ね。ディーノに迷惑掛けてばっかりで
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