『あ、あの、お気に召しませんでした…?』
「まさか!すっげー女の子らしくて気に入ったぜっ。だから、ホラよ」
『 ? 』
「誕生日おめでとう芹奈。これはハナから芹奈に渡すつもりだったんだ」
『えっ』
「で、えーと… それでもし良かったら、なんだけどよ。今日夕飯でも一緒にどうだ…?」
この歳になってもいざこういう時は緊張する。断られたら今後のアタックに影響が出てくるからな。
諦めるつもりはさらさらねぇけど、やっぱ最初が肝心だからな。上手くいってほしい。どうだろうか、どう返事してくるだろうか。ドキドキしながら花束を持ったまま俯いた芹奈の反応を持つ。
『山本さん、そういう時は“夕飯”じゃなくて“ディナー”って言うんですよ』
「え、あっ そうか…!」
しまったぁぁああ!痛恨のミスしちまったのなぁあぁあっ!! こういう時ぐらい使い慣れていなくてもそっち使うべきだった!育ちが分かって嫌になるぜ全く!!デートに誘うときぐらいホント…!最後の最後で爪が甘かったぜ…。そうあからさまに自己嫌悪に陥っていればクスクスと笑い声が降ってくる。ミスった挙げ句に笑われるとは…。 オレってとことんツイてないのなー…
『ふふふ、 …いいですよ』
「えっ!?」
『お店が19時頃までなんで…。その後でもよければ』
「も、もももちろん!迎えに来るぜっ!」
もうダメだろうとがっくりと項垂れていれば思わぬ了承の声。嬉しさと予想外さとで変な声が出るがンなもん気にしてるヒマはない。芹奈と夕め… ディナーに行ける!このチャンスをモノにしないはずはない。見てろよ芹奈、今日から少しずつ落としてやっからな
春色
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