優しいって言やいいんだろうけど、変な奴に付け入れられねぇかちょっと不安。

『どういった方に贈られるんですか? その方に合わせてお作りしますよっ』
「んー… どういった、なー。オレそういうのホント苦手だから芹奈の好きな花で見繕ってくれよ」
『え、それでいいんですか?』
「ああ!」

だって渡す相手は芹奈だし。
オレの勝手なイメージで作ってもらってもいっかなって考えてはいたけど、それが気に入られなかったら “私のイメージってこれなの?” って思われて好感度を下げるハメになるのはゴメンだ。故にここは手堅く行かせてもらうぜ。並べられてる生花を見つめ、悩みながらも少しずつ花を取ってゆく芹奈。客が誰かに贈る花ってんでより一層考えてんだろーなー。ンな心配しなくていいのに。

『…そうだ。あの、こちらは何用ですか?』
「何用?」
『何かのお祝いとか、記念日とか…』
「あぁそういう事か!誕生日なんだ、今日」
『そうなんですか!?実は私も今日誕生日なんですよーっ』
「そりゃすげぇ偶然だな!じゃあオレとは1日違いか」
『え、それじゃ』
「おう、オレは昨日誕生日だったんだ」

1日違いだって知った時はもう運命的なものを感じたのな。芹奈についての調査資料手にしながらぶるぶる震えた挙げ句、声にならない声を上げてベッドにダイブしたのは記憶に新しい。…先に言っておくぜ、オレは決してストーカーじゃないと。
ただ単に芹奈のことを知りたいという感情が先走った結果だ。

『昨日っ? うわぁ、おめでとうございます!』
「ははっ、ありがとな!」
『はい、じゃあコレ!意中の人に渡してがっちりハート掴んできちゃって下さいっ』

そう言ってオレが惚れる要因となった笑顔を浮かべながら、出来上がった花束を渡してくる。それはピンクと黄色が基調となっていて。 …なるほど、芹奈はピンクと黄色が好きなのな。また一つ知った。
男が持ってるにしては可愛いすぎる花束。オレはそれを笑顔で受け取ると、また芹奈へと渡した。 返ってくるとは思っていなかったんだろう、目を見開いてパチパチしている。


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