『んで、どうしたんだよ急に。来るんなら連絡の一つもくれたらいいのにー』
「少し、驚かせたくてね。…そんな事より、ねぇ、僕どこか変わったと思わない?」

ニヤリと笑みを含ませて貴裕を見れば眉根を寄せて僕を眺める。
なかなか気付くのは難しいと思う。性転換したと言っても見た目にはあまり変化はない。よくよく見れば体の骨格や筋肉のつき方が男らしい堅いものから女らしい柔らかいものへとなっていて。けれど顔立ちはそのまま。大きくなるかな、と期待していた胸も控え目な膨らみとなってしまった。でも正真正銘今は女。子供も孕めるし、来月辺りになれば月経も来るだろう。貴裕と、一緒になれる。

『え〜? んーそうだなぁ… あ、髪切っ「貴裕〜っ」…っとお、なんだ玲美か』

久しぶりの貴裕との会話を楽しんでいれば横から知らない女が話しかけてくる。水を差され一気に機嫌が下降していくのが自分でも分かった。
ホントなんなのこの女。ギロリと睨みつければ きゃっ とかいう気味悪い悲鳴を上げて貴裕の後ろに隠れる。店の客か何かだとしても腹立たしい。咬み殺してしまおうか。

『おいおい恭弥そんな睨みつけんなよ。人のハニーに失礼だぞっ』
「…えっ?貴裕、今、なんて…」

聞きたくもない、恐ろしい事実が貴裕の口から発せられて声が震える。信じたくなくて聞き返してみれば目の前の2人は更に残酷な行為をした。仲睦まじく身を寄せ合うだなんて―

『紹介しまーす!オレの恋人でもう間もなく奥さんとなる玲美ちゃんでっす!』
「はじめましてぇ!」
「…結婚、するの」
『おうっ。まだ式の日取りとか何も決めてねぇけどプロポーズはしてさ。籍を入れれば晴れてってやつ』

その後も楽しそうに貴裕と女が話していたけれどそれ以上の会話は正直覚えていなかった。ただずっと頭がぐわんぐわんと揺れていたのを覚えていた。結婚してるとかいう最悪な可能性を考えなかったワケじゃない。けど女好きで軽い貴裕のことだから1人の女に絞れないだろうと、結婚に踏み切る勇気もないだろうと高をくくっていて。唯一になるのはこの僕だと信じて疑わなかった。それなのに現実は、頭の弱そうな女に持っていかれ。

ねえ、じゃあどうして、僕は女になったの?


救い方を教えてよ


女体化損な雲雀ちゃん。

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