持ってきていない、わけじゃないけど素直に渡してしまうのは何だか癪だ。自分という彼女がありながら拒否することなく受け取りやがって、と。どうしようか、と考えていれば貴裕が声を上げた。

『まさか… 無いとか!?』
「えっと、そ『そんな!恭弥からのチョコが何よりの楽しみだったのに!恭弥からのチョコ食べて!あわよくば恭弥も美味しく食べたかったのにぃいいぃいぃ!!』
「(こいつ…)」

どぅっと大げさすぎるリアクションをしてソファに倒れ込む。 そうまで楽しみにしてくれていたというのはすごく嬉しい。嬉しいがその後のセリフのほうがメインだったような気がしてならない。 ゴロゴロと狭いソファの上で器用に転がりながら、心底残念で悔しいと言わんばかりに雄叫びを上げる。 美味しく頂かれるのは御免被るが、チョコを渡してもいいかなという気にはなってきた。 足元に置いてある小さな紙袋に視線を落とし、貴裕に声を掛ける。

「…貴裕」
『うぉおん、うぉおぉーんっ!』
「変な泣き声上げないでよ…。コレ、あげる」
『うぇ…?』

うつ伏せになったまま、まるで獣のように泣き喚いていれば遠慮がちに降ってくる声。泣くのをピタと止め、そろりと顔を上げれば目の前で揺れるピンクの紙袋。 それを辿るように先を見れば、恥ずかしそうに頬を染めている雲雀の姿。ガバッと起き上がった。

『きょ、きょきょきょ恭弥…!もしかしてコレ…!』
「チョコだよ。貴裕うるさいだろうか、ちゃんと作ってきたんだよ」
『〜〜っ!』

グイッ どさっ
耐えられない。
とばかりに貰ったチョコをテーブルの上に置くと即座に雲雀の腕を引っ張って、ソファに押し倒した。
そのまま到底子どもには見せられないアダルトな行為を行うかと思えば、組敷いた雲雀に抱きつき



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