なーんて考えてた1週間前に戻りたい。いや、出来るなら前世に戻りたい。
何故俺は沢田に呼び出されてんだ!? それも放課後校舎裏にとか絶好の告白シチュエーションで!人より多い人生経験がなくても何か予想ついちゃうんだけど!いやいやいやいやそんな馬鹿な!

「あ、あの… 織田、くん… その」
『あぁ…』

顔真っ赤にして泣きそうにならないでくれ!もう確定的じゃねーか!いや可愛いよ?女の子ver.の沢田綱吉。でも今後のことを考えると冷や汗が止まんねーよ…。でも下手に断ったらあの物陰からチラチラ覗いてる銀髪と短髪がうるさそうだし…。あの2人がいるってことは絶対どっかで例の家庭教師も見てるだろう。うう、胃が痛くなってきた…。

「わ、わわ、私っ ず、ずっと…っ前からっ」
『うん…』

大丈夫か? なんか顔真っ赤になりすぎて心配になってきたぞ…。気のせいじゃなく呼吸も荒いし。ちょっと突ついたら倒れそう

「っす、好きでした!」
『…え?過去形?』
「! ちちちち違うよ!今も好き!…ぁ…」

勢い余って大きな声で言ってしまった言葉に気付き、今まで以上に赤くなる沢田。まだ赤くなるなんて振り幅広いなコイツ。恥ずかしくてか俯く彼女を前にしかしと考える。予想通りの展開すぎてパニックになるのを通り越して冷静になってしまっている俺がいるが、何より気になるのは一体いつ好意を抱かれたのか。話したように関わったのは数える程度。好印象を与えるような内容ではない。だというのにどうして好感度が上がる。俺が笹川の立ち位置になるのか不思議で仕方ない。
あー俺が友人みたいな性格だったらこんな場面もサラッとチャラッと切り抜… いや、ねーよ。想像する前にアウトだったわ。

『あー…と、沢田?聞いていいか?』
「えっ、あっ うん!なに…?」
『あのさ、いつから俺のこと好きになったんだ?ぶっちゃけまともに話すの今が初めてな気がすんだけど』
「そ、れは…」

問うてみれば治まってきた顔の赤みを取り戻した再び俯く。これは多分、教えてくれないだろうなぁ…。さて、それもそうだが返事どうしよう。今後のことを考えると己の安寧の為にここでこっぴどくフッといたほうがいい気もする。それこそもう二度と関わりたくないと思うぐらいに。
だがしかし!思い出してほしいのはすぐそこに沢田の取り巻きが隠れているということだ。そんなことしたらすぐ様ダイナマイトが飛んできて俺の人生終了。前世よりも早いとかありえないんだぜ…。
長生きするためにはここを円満に取りなす必要があるわけだが、そうなるとフラグ乱立を回避出来ねー。考えろ俺!伊達に人生2周目じゃないってとこ見したれ!

「あの織田くん… へ、返事を… 下さいっ 」
『それなんだがやっぱりどうしても、関わりが少ねーもんだからそういう感情持てないんだわ』
「…っ」
『あぁあ泣くなって!だから、まずは友達から始めてみよう。なっ? 沢田ケータイ持ってる?』
「もっ、もって、る…っ」
『じゃ貸して。ケー番とメアド交換しよう』

出来る限り長生きするためにはここは穏便に過ごしゆっくりとフェードアウトしていこうと思う。
酷い? 知るか!俺は結婚して子供育てて老衰で死ぬっつー夢を叶えるんだ!
一先ず嬉しそうに笑う沢田からは目を逸らそう。俺の良心が痛むから。

寝たふり見ないふり

そうは思っても巻き込まれるんだよねこういう主人公って。

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bkm
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