来るのも突然なら帰るのも突然らしい。
何のことかって?
例の天女様だよ!
実際見たワケじゃないんだが聞いたところによると、何か光の泡となって消えたらしい。一瞬物騒な鉢屋の仕業かとも思ったが、血の匂いは全然しないし本人も驚いてたし。鉢屋が全力で隠したら俺如きに見抜けるワケないんだけどね!

『で、なんでお前は俺の顔してんの』
「…………。」

天女様がいなくなってメロメロ(笑)になってた奴らはみぃんな正気に戻った。そうしてすぐに迷惑をかけた(主に委員会関係で)後輩たちに平謝りをして。中には土下座して謝る奴までいたな。それ程申し訳ない気持ちでいっぱいなのかそれとも余程酷いことをしたのか…。そんな、学園中から謝罪の声が聞こえている中何故か鉢屋が俺の顔をして俺の隣で膝を抱えている。俺の考えではコイツも謝られる側なんだが…。
誰に?不破を筆頭とした5年S'にだよ。
いっつも一緒に行動していた5人組。
それもまぁあの女が来てからは鉢屋1人で行動していて。まぁ途中からは俺に引っ付いていたけども。その4人も例に漏れず正気に戻っている。のでぼっちにしてしまった鉢屋に気付いて来るかと思うんだ。それがなーんでか、俺の顔をして俺のフリをして過ごしている。理由を聞いてもツーンとして口を開こうとしない。
まったく、頭の良い奴の考える事は分からん。

「三郎っ!!」

どうしたもんかと考えあぐねていると聞いた声がした。瞬時に逃げようとする鉢屋の首根っこを掴み、逃走を阻止。あの鉢屋を捕まえられるぐらいには成長したんだなぁと嬉しくなりつつも声のしたほうを見れば同じ5年の不破、久々知、竹谷、尾浜の4人が。ああ鉢屋に謝りに来たんだな。
そう思えば俺の行動は速く、不破らの前に鉢屋を引きずり出すと被っていた俺の面を力ずくで奪い取る。何となく思ってはいたけどその下は不破の顔をしていた。それで気付いたのは、コイツは拗ねてるんだなって事。怒るんじゃなく拗ねるって辺りが鉢屋らしい。

『餓鬼じゃねんだから拗ねんなよ鉢屋』
「すっ、拗ねてなんかない!」
『そう言う奴は大概拗ねてんだって。コイツやるんで、後はどうぞごゆっくり!』
「勇介っ!」
『お前今朝まで名字呼びだったのに何いきなり名前呼び捨てにしてんだ…!』

やめろ好感度を上げるな!フラグ怖い!
ぞっとしつつも鉢屋を不破らに突き飛ばす。そして俺逃走。仲良くなんかならなくたっていいよ、別に俺そんなの望んでない!!


酔いの春霞


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