※傍観なようなそうでないような


何だかよく分からないが天女なる生き物が降ってきたらしい。やたら丈の短い着物を着て“平成”なる所から来たとか何とか。何それ頭可笑しいんじゃねーのって思ったのはどうやら俺だけだったらしい。
人伝にその事を聞いて警戒心を抱きながらも会いに行ったり見に行ったりした奴は皆メロメロ状態にはマジビビったそしてそんな中俺だけがいつも通りな状況にも。いっそ俺も皆みたく天女に惚れてれば楽だったのかもなぁ。まぁそんな事言ったってどうにもならんけども。

『よっ』

すこんっ
気の抜けたような声と共に投げるのは手裏剣。離れた所にある的に軽い音を立てて当たった。今のは何とか中心に当たったが5回投げて真ん中に当たったのはたった2回。今のを含めて3回。もう五年生だっつーのにこの命中率は…。流石は組なだけあるなと自分の事ながら思ってしまった。せめて4回当たるぐらいにはレベルアップしないと。周りが天女に現を抜かしてる間に。俺はこのチャンスを逃がすことなく、惜しみなく鍛錬を続けていた。五年は組の中でも底辺にいるような自分。進級も試験もいつもギリギリ。それが恥ずかしくない訳がない。悔しくない訳がない。だからこそ今、周りが鍛錬をサボり少しずつ少しずつその実力を落としていってる間に…という事だ。
天女に骨抜きにされていない三、二、一年生には少し酷かもしれないが、こういった苛烈な状況にも耐えられないようじゃ忍者になど到底なれない。学園の評判が落ちようが委員会がズタボロになろうが知ったこっちゃない。
だって俺はそんな迷惑してないし、どうにかしようと思って特攻仕掛けたらたちまちの内に肉片だわ。
あの六、五、四年生による鉄壁見たらそう思うよ。俺の実力抜きにしても。

『今日の夕飯何かなー…っと』

少し体勢を変えながらまた投げる。外れ。そりゃ普通に投げてもなかなか当たんねーんだから当然か。
けど手裏剣投げはそろそろ切り上げねーと。他にもやることはいっぱいあるからなぁ。筋トレはもちろん座学も…。体術は今んとこ先生方にちょいちょいお相手お願いしてっけども、そうしょっちゅうじゃ迷惑だろうし。六、五年で回してた夜間警備は今では先生方がやって下さっているから負担は増えてる。俺に声が掛かんないのは無論実力がアレだからである。うーん、何か誰か1人でもいいから組み手相手出来ねーかな…。

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