今は真っ昼間。
外はとても麗らか天気でデート日和だというのに私は室内に籠もり、あられもない格好をしている。

『楽しい?』
「うん、とっても」
『そう』

あられもない、とは言っても全裸で足をおっぴろげているとかではなく。全裸手前の所謂下着姿でソファに座っているだけだ。勘違いしないでほしいのは私にそういう性癖があるのではなく頼まれて仕方なくなのだという事を理解してもらいたい。
ソファに座るだけの、誘うようなポーズを取っているでもない私をただただニコニコと眺めるのは恋人のツナ。この男はこうして度々私に下着姿になるよう言いつける趣向があった。
本当に、何をする事もなく、ただ下着姿の私を見るだけ。最初の内こそもしかして欲求不満なんだろうかとか誘われているのかとか思いもしたけど…。
女として一度こちらから迫ってみるかと意を決して行動を起こしてみたら、

「そうじゃない」

と、冷たい瞳と冷たい声で断ち切られて。そこでこの男は性的な意味合いで下着姿の私… 基、下着を見ているのではないと知った。まぁ、ね。恋人としての営みもコレとは別にしっかりヤッちゃってるし。そういう時は執拗に下着を見たりしないんだから不思議だ。

「はぁ… やっぱり結花は赤が似合うね。プレゼントして正解だったよ」
『そりゃどーも。私赤い下着なんて初めて着たわよ…』
「ふふふ」

上下セットの赤の総レース。この間は白いファーの下着だった。その前はベビードール。ガーターベルトを着けた時は何とも言えない気持ちになったものだ。勿論最初の頃は恋人相手と言えども下着姿を晒すのは大変恥ずかしかった。もっと恥ずかしい事しちゃってるんだけど、アレはまぁ何か別よ。
渋ったり嫌がったりしてみたものの今では頼まれれば普通に下着姿になってしまう。何だかんだ結局は好きな人の為だから、なんだろう。ツナからの熱視線がむず痒くて、思わずブラストラップを直すことで誤魔化した。

「ねぇ結花。物は相談なんだけどさ」
『何よ』
「ヴァージンロードは純白の下着で歩いてみない?」
『は?』

前触れもなく放たれる言葉に思考が停止する。
え、何今のプロポーズ?喜ぶべきなの?嬉しいんだけど下着でヴァージンロード歩くとか嫌なんだけど…。何とも微妙な表情を浮かべる私とは対照的にツナはニコニコと笑っていて。きっとその時の様子を想像してるに違いない。結婚するというのは素直に嬉しい。私もそれぐらいツナの事好きだし愛してる。それに恐らく、ツナの性癖に付き合えるの私ぐらいでしょう。
夫婦になった後もこういう事は普通にあるんだろうなと思いながら、ゆっくりと深く首を縦に振った。


下着姿の惰性


フェチなツナ様が書きたかった…。

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