居ても立ってもいられなくなって、谷本と別れ沢田と話す京子の元へ。後ろから谷本が「束縛強い男は嫌われんぞー」などと言っているが気にしない。別にいいだろ、自分の恋人ちょっとぐらい束縛したって。嫉妬したって。向かい合って話している2人の間に邪魔するように立てば沢田の驚く顔と、コイツの腰巾着2人がオレを睨むのが見えた。知ったことか。オレは今最高に怖いもの知らずだ。

『人の女にちょっかいだしてんじゃねーぞ、沢田。大体お前狗飼っつー男装女子に夢中だったじゃねーか』
「中里くん神音が女の子だって知ってたのっ!?」
『見りゃ分かんだろあんなの。てゆか、お前ら以外みんな知ってたぞ』

そう言ってやれば焦ったように沢田も、獄寺も山本も教室中を見渡して。見なくても分かる。クラスメートたちがどんな表情をしているか、だなんて。
そんな3人を思った以上に冷ややかな目で見ながら、そっと京子の肩を抱いた。『行こう京子。コイツらと話なんて無ぇだろ』
「うん。でもどこに行くの?」
『屋上。たまには授業サボってみようぜ。2人なら雲雀も怖くないさ』
「…いざとなったら守ってね?」
『もちろん』

内緒話をするかのように小さな声でクスクスと笑い合う。そのまま肩から手を退かし、京子の手へと。繋いだ状態で教室を出て行こうとすれば沢田の動揺した声が掛かった。

「な、なんで…っ」
『なんで? 決まってる。お前が余所見してる間に努力しただけさ。そりゃもう必死にな』

教室を出る最後に見た沢田の顔は、真っ青を通り越して真っ白だった。

凛と鬼百合

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