穴場と呼ばれるそこはまばらに人がいる程度。しかしそのどれもがカップルで…。オレたちもそう見えるんだろうか、と思うと何とも照れくさくむず痒い。見てくれだけでなく本当に恋人という繋がりになるのが本日の目標なんだが。
今、告白のシチュエーションとしては最高だと思う。晴れ渡る夜空、満開の花火。辺りも閑散としていて邪魔をするようなものは無い。結果はどうあれ、この3年越しの想いに決着をつけなくては。 すぅ、と息を吸って吐く。

『…笹川』
「なぁに?中里くん」
『もう分かってるかもしれないけど、オレお前のことが好きだ』
「っ、」
『小学生の頃からだからざっと3年になる。……もし笹川がオレと同じ気持ちなら、オレと付き合ってくれないか』

…ついに言っちまった。ずっと、胸の内に貯めに貯めてた想いをついに言葉に出してしまった。きっと伝えることはないんだろうと諦めていた恋。
それを伝えてしまって。次々と打ち上がる花火なんてぶっちゃけ目に入ってこない。全神経が隣にいる笹川に注がれている。完全に沈黙してしまっている彼女。全く反応を示さないことに不安が募ってゆく。驚いているんだろうか、気持ち悪がっているんだろうか。今すぐにでもこの手を離してしまいたい?
もしそんな事をされたら新学期、学校でどんな顔して会えばいいんだ。花火が一瞬静まると同時に、笹川が口を開いた。

「…中里くん」
『…おう』
「よ… よろしく、お願いします」
『!?』

耳に届いた言葉に思わず勢いよく振り返って笹川を見る。花火に彩られていても、暗がりでも分かるほどに彼女の耳は真っ赤になっていて。その熱が伝染するかのように顔が心臓が、熱くなっていく。ヤバい、死にそう

『そ、れってつまりアレだよな?オレと同じ気持ちってことでいいんだよな?』
「い、言わせないで恥ずかしい…っ」
『わ、悪ぃ…!』

顔を隠すようにして俯く笹川が物凄く可愛くて、愛おしい。一度手を離し、指を絡めるように繋ぎ合わせればきゅぅと握り返してくれた。あぁ、うん。さっきのは訂正しよう。今が人生で一番幸せな時だ。

夏の告白 完

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