そうして、オレが笹川にアタックを開始して数ヶ月が過ぎた。気が付けば季節は夏へと移り変わり。夏休みという、学生生活の中で一番長い休みが来た。
なんだろうな、去年一年分の濃さをこの半年で体験した気がする。主に笹川関係だけど。あれから少しずつ距離を縮めたオレは何とか一緒に出掛ける程の仲になり。オレはデートと呼びたいけど、笹川がそう思ってくれているかは分からない。
ただ以前よりはずっと意識してくれるようにはなったと、思う。目が合うと少し照れくさそうにはにかんでくれるから。目に見える努力の成果に嬉しくなった。

―そしてオレは今日。その努力に終止符を打とうと思う。今夜は並盛神社で夏祭りがある。それに笹川を誘って、無事OKを貰えた。そこでオレは3年越しの想いを伝えるつもりだ。

「中里くんお待たせっ!」
『おぉ笹川!や、特に待って、は…』
「どうしたの?」
『……ゆ、浴衣っ』
「え?」
『スゲー、似合ってる…!』「あ、ありがとう…」

待ち合わせは18時。神社の入口、鳥居の下。
そこで待ち合わせ時間よりも早く来てシチュエーションやタイミングを考えていれば18時ちょっと前に笹川が来た。そこで浴衣を着ていた彼女に見とれたワケだけども…。や、着てきてくれねぇかなとは考えたし期待はしてたが、思ってた以上に似合ってて可愛くて驚いた。そりゃこんな可愛くて性格も良かったらみんな惚れるってオレもその内の1人だけど!

『じ、じゃあ行くか!』
「うんっ」

気恥ずかしさを覚えながらも行こうと促す。
そして下駄をカラコロと鳴らしてオレの隣に並ぶ笹川の手を―… そっと握った

「 ! 」
『…人混み激しいし、迷子になったら大変だから』
「…うんっ」

自分で自分の顔が耳まで赤くなってるのが分かる。今まで何回か一緒に出掛けたあったけども、こうして手を繋ぐのは実は初めて。猛烈なアプローチをしてはいたけど体に触れるようなことはしなかった。要するに、笹川に片思いして初めて、彼女に触れることになる。


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