『笹川っ!』
「あ、中里くん」
『重そうだな、それ。手伝うよ』
「ホント? ありがとうっ」

それからというものの、オレは笹川の姿を見掛けると事あるごとに声を掛けた。勿論しつこくなり過ぎないように。しつこくして調子に乗った先輩が1人、痛い目見たからな。引くときは引いて。でもさり気なく視界に入るようにしたり、毎日の挨拶は欠かさないように。今までも努力してなかったワケじゃないこんなに必死になったのは初めてだ。これで告白してフラれたらやっぱり傷つくけど、多分清々しい気持ちにもなる。
やるだけやっての結果なら納得出来る。

『あーコレ数学のノートか』
「うん。ちょっと職員室に用があって行ったらタイミング悪く中村先生に見つかっちゃって…」
『鬼畜だな中村。女子に1クラス分のノート全部押し付けるなんて…。』
「ふふっ、でも中里くんが手伝ってくれたから」
『 ! おぅ…。…あ、』
「どうかした?」
『狗飼のノート。そっちあるか?』
「あ…っ。待って、探す!」

半分に分けたノートの束。笹川の持つ分はオレよりちょっとばかし少ない。その中からある意味問題児・狗飼神音のノートを探してもらう。そっちに無くてこっちにあんなら問題はねぇんだけど…。さて、何故ここでわざわざ狗飼の分だけを探すのかと言うと答えは簡単。アイツが女嫌いだから。

以前一度、こうして返却物を浅野(女)が生徒1人1人に返している時のこと。その時いない生徒の分は机の上に置くだけだったんだが、狗飼は居たんで手渡し。何も変わった所はないその行為にヤツはなんと

「汚らわしい…。女がオレの持ち物に触ってんな!ブス!!」

と言い放ったのだ。
そう言われた瞬間浅野は表情をスッと無くすと、丁度風邪が蔓延してた時期。消毒用にと教室の入口付近に置いてあったアルコール消毒液を手に取り―…
ノートに振り掛けやがった。


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