「失礼レディ。ご一緒してもよろしいですか?」
『…よくってよ』

1人前のレディのつもりか、ついていた肘をちゃんと伸ばし胸を張って言う。その素振りが可愛らしかったので、つい笑ってしまえばキッと睨まれ。おぉ怖い。

「君も今日のパーティーに?」
『そうよ、パパに連れられてね。やんなっちゃうわよ、ホント大人って汚い』
「なんで?」
『だって、私のことみんなに見せびらかすのよ? ただの娘自慢ならイイけど“うちの娘とそちらの息子さんを…”とか言って!私を使って自分とこのファミリーを強いものにしようとしてるのよ!? 私は道具じゃないわっ』

そこまでを一息に言い切ったかと思えば手元に置いてあったシャンパンを一気に飲み干し。よほどフラストレーションが溜まっているらしい。未成年が酒を、とも思うがまず根本がマフィアという犯罪者集団。この程度のことで口出しすることもない。 しかも、今日のことに鬱憤がまだまだあるのか聞いてもいないのに何だかんだと語り出す始末。

『大体、私こういうパーティー好きじゃないのよ。あんな風に楽しげに話し合っていながらも、その足元では互いに抗争や下らない争いを続けていて。気持ち悪っ』
「…自分のファミリーも?」
『そうね、そういう面では好きではないわ。それ以外ではとても好きだけど。…あなたはどうなの?ボンゴレ10代目』
「あ、オレのこと知ってたんだ」
『それはもう。あの大ボンゴレのボスだもの』
「その割には物怖じしないで話すね…」
『当たり前よ。ボンゴレという名があなた自身の評価ではないもの』
「…っ!」

不覚にも感動を覚えてしまう言葉だった。
今まで、今日も、ボスとなってからありとあらゆる人間に声を掛けられてきた。それは全て邪な考えを持つものばかり。 ツナ自身の人間性には目もくれず、その地位を有効利用しようと考えるヤツらやその名に怯えやたら腰低くする人たち。 自分を見てもらえないというのがこんなにも辛いものだなんて、知らなかった。けれどこの、自分よりも10は年下の彼女は初対面にも関わらずしっかりとツナを見ている。 目の前が開けた気がした。


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