たくさんの光を放ちキラキラと反射させる豪華なシャンデリア。広いホールの床や壁は大理石で作られていて。
そのホールに犇めく人々の服もまた、とても高級そうなものばかりだった。きっとと言わずともブランドものばかりなのだろう。 その場にいるだけで息が詰まりそうだった。

「はぁ… もう嫌だ…」
「大丈夫ですか10代目。お水持ってきますか?」
「あ、うん お願い…。」

こういった場が得意な性分でないからか、ぐったりとツナは疲れきって。同行していたボンゴレ嵐の守護者兼ツナの右腕である獄寺は、そんなツナを心配してか水を取りに行き。 敬愛する10代目のことにならどんな細かい気配りも欠かさないこの男。 女性にも同じようであれば今よりもっとモテただろうに。

「どうぞ、10代目」
「ありがとう。…ついでにちょっと外の空気吸ってきてもいいかな」
「はい。そこらのファミリーに所在を聞かれたら適当に答えておきますよ」
「助かるよ」
冷えた水を飲み込むと少しだけ気分が晴れる。 これをもう少しばかり良いものにする為に人の敷き詰まったホールを後にする。2階への階段を上がり、外に繋がる小さなベランダへと出た。中とは違った新鮮な空気を肺いっぱいに吸い込み、一息に吐き出す。

『オヤジくさい』
「 ! 」

すぐ脇から可愛らしい声がした。
パッとそちらへと振り返れば淡いエメラルドグリーンのドレスに身を包む1人の少女。建物の外観に相応しい、ヨーロピアン調の手すりに頬杖をついてジト目でこちらを見ていた。手元にはイチゴの入ったシャンパン。

『いきなり乱入してきて深呼吸なんて年齢を感じさせることしないでくれる? せっかくの気分が台無しだわ』
「あ、ごめん…」
『別にいいわよ。元々気分最悪だったし』
「…………。」

それなら文句を付けられる謂われは無かったのでは? と思ってしまう。しかしこんないたいけな少女相手にそんな事を言うほど大人げなくも器も小さくもない。 ふ、と肩の力を抜き手すりに一歩近づく


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