今にもあの子を殺りに行かんとばかりに駆け出しそうになる同僚を押さえ込み。センゴクを見るとこれまた難しそうな顔をしながら3人を見つめていた。

きっと彼らが特別聡いんじゃない。一目見て分かってしまう程に原因が明らかなのだ。階級が低い海兵にだって分かる。分かりやすいというのは組織には致命的でもある。今そこを海賊に突かれたら大打撃を食らうだろう事も。容易に想像がついた。
いくら身寄りがなく行く宛もないからと保護した少女に、無償の優しさをくれてやる程海軍総大将は甘くない。それに彼女は海軍を弱体化させてしまっている。切って捨てるなら今だ。

「これは一度懐にしまえ。間もなく彼女の処分を実行する予定だ」

その言葉の通り、その日から3日後には海軍本部内から彼女の姿は消えた。噂では拐われたやら急に弾けて消えただか実験施設に送られたやら聞くが真実は定かではない。上層部の人間なら何か知っているかもしれないが勇介は只の文官。知る由も術もない。
大将たちに聞いても答えは返ってこないだろう。何せ三大将が同時に遠征に行っている間の出来事なのだから。

思った以上にあっさりと彼女のことを想うのを止めた大将たち。正気が戻るのも早く、本部内では大将が文官に頭を下げるという場面が目撃されていた。

「ホンットごめんね勇介…。俺、なんかどうかしてたっつーか… なんつーか…。」
『いえ、そんな謝らないで下さい。ただこれを受け取って頂ければいいんで』

平身低頭謝る青雉に突き出されるのは異動願と書かれた封筒。その文字を見て青雉はひくりと顔を引きつらせ。
失った信頼が頭一つ下げたぐらいで戻ると思ったら大間違いである。


傍らの眼球

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