コレその内通報されんじゃねーかってレベルで言い合いしている2人。止めるのも兼ねて銀さんの着物の裾を引っ張って呼べば超叫ばれた。や、オレだってオジさんとは思ってねーけど今は悲しいかなお子様だし…。銀さんに自己紹介してもらってないしぃ。ぐるんと音がしそうな勢いで振り向いたぎんいろのオジさんをじっと見上げれば、ぐっと息を止めた後ため息として吐き出した。そうしてオレの目線に合わせてしゃがみ込んでくれる。優しいなぁ。

「…どうした、坊主」
『これ、まえばらい。おかねははたらいてはらうから、たすけてください』
「おま、」
『おねがいします』

握っていたのはチョコレート。板チョコよりはちょっとだけ良いもの。それを銀さんにぎゅっと押しつけるとぺこりと頭を下げた。
こんな子供のナリではなく元の年齢であったならバイトの一つや二つ出来ただろうけど、残念ながら今は子供。誰かに助けてもらわねば生きていけない。
大丈夫、小遣い稼ぎ程度にしかならなくてもちゃんと働いて返すから。足手まといでも頑張るから。頭を下げたまま、服の裾を握り締める。だぼだぼになった自分のシャツが不安げに揺れた。

「へぇお前これチョコじゃねぇの。オレ甘いもんに目がねーんだわ。しかもこんな美味そうなの、なかなかお目にかかれねーんじゃねーの?」
『!!』
「ぎっ、銀さんそれじゃあ…っ」
「気は乗らねーけど乗りかかった船だし?前金貰っちゃったしぃ?ま、やれるだけやってやるよ」
『っありがとう!』
「おわっ」

パチリと軽くウインクをする銀さんがどえらいカッコよくて、思わず飛び付いた。結構な勢いだと思ったけどぐらつく事なく受け止めてくれる。喜びと感謝を表現するように肩口にぐりぐりと頭を押し付ければ長谷川のオジさんが涙声で良かったな!と言ってくれて。なんて温かい世界。


激情アウトサイダー


初遭遇キャラが長谷川さんでもいいじゃない…。

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