ある日のことである。
今日も今日とてサウザンド・サニー号に乗り何処までも続く大海原をワンピース目指して突き進んでいた。変化の乏しい水平線。眺めていても面白いものではないが、それでも何かがあるかもしれないと期待を込めて波打つ海を見つめていた時の事だった。

穏やかな波間に何か光るものを見つけた。第一発見者のウソップは直ぐ様声を上げた。なんだなんだと集まるクルー。拾おうとはしゃぐ船長。こういう時の麦わら海賊団の行動は速く、フランキーお手製の小舟でえっちらおっちらとそれを回収に行き。漂っていたのは小さなビンであった。しかし中には何か紙切れが入っている様子。
ここで開けてもいいがこういうのは船長が率先して開けたがる。やらせた方が文句は少ないだろう。そう判断してサニー号に戻るや否や、騒がしく纏わり付いてくるルフィに投げて渡した。

年少組が嬉々としてそれを開ければなんとまぁ。それは宝の地図であった。流石何が起こるか分からない新世界。まさかこんなチープな冒険譚が転がっているとは。王道過ぎて逆に体験出来ないぞ。

「行こう宝探し!冒険がおれを待っている!!」

ルフィのその一言で次の航路は決まった。

さあ冒険の準備をと、その島がある所の一つ前の島。食料やら何やらを買い込む為降り立つ。しかしそんな、俄に浮き足立つクルーを置いて航海士のナミはその宝の地図を信じきれないでいた。
海を漂っていた紙切れだ。信憑性の欠片もない。こうしてはしゃぎ、周りが見えなくなるクルーたちを一旦落ち着かせるため何にでも疑って掛かるのが役割だった。性格的なものもあるが損なものだとたまに思う。

「えー何だよいいじゃねぇか何も無くったって。おれは冒険が出来ればそれでいい!」
「アンタは良くてもこっちは良くないのよ!無駄足踏んで散財したらどうすんの!!うちは赤字ギリギリなんだからね!」
「なにぃ!?何やってンだお前ら!」
「主にアンタの食費のせいよ!」

ごちん!と荒ぶったナミに拳骨をもらう。それ自体はそんなに痛くはないがナミの言葉のほうが痛かった。食費。これはこの麦わら海賊団にとって切実な問題。船長であるルフィもなんとなーく察してはいた。ただ見ようとしなかっただけで。少しでも自覚しているならば食事を抑えればいい話なのだが…。
それが出来れば苦労しないという話である。

ナミの言いたいことも分かる。が、今はとにかく冒険がしたいのだ。そうするにはナミを言いくるめる他ない。だがそれが出来るほどルフィは頭が回るほうではなかった。
それでもなんとか…!何とかとぐるぐる考えるルフィの視界に“占い”の文字が入る。これだと思った。

「じゃあコレが本物かどうかアイツに聞いてみよーぜ!」
「はあ!?」

古びた宝の地図をナミから引ったくって露店商のように道端に店を構えているその店に向かう。
何故よりにもよってあんな胡散臭い…。占いなんて科学的根拠も何もありゃしないものに。頭を抱えながらもルフィ1人で行かせては不安ばかりが残るのでナミもその後を追った。




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