夢の続きは続かない
2013/05/07 01:38

碧へ主人公が銀魂の世界へトリップするお話。その冒頭部分の妄想。
女体化したり逆ハになったりと完全に俺得なんで本作へのイメージを崩したくない方は読まない方がいいかも。ちなみに今回キャラには一人として会いません!


少し本気出して神のところに殴り込みに行こうかと火月は真面目に考えた。
彼がそう思うのも致し方ない。何故なら彼はまた世界を渡った挙げ句、彼ではなく彼女になってしまったのだから。
以前にも一度悲しいかな性転換とやらをほんの一時ではあるが経験した。だがあれは原因が分かっていたしそして戻れるという事実があった。
しかし今はない。それに世界を渡った瞬間も覚えがない。由々しき事態である。


原因不明の事象ほど不可解で恐ろしいものはなかった。


だが火月は幸いなことにトリップの経験者。こういう時まず何からすべきかを身をもって学んでいる。


『天に向かって唾を吐いてやりたい気分だな。クソッ垂れが』

「にゃーぅ」

『…せめてもの救いは、お前をひとりぼっちにしなかったことかな。行こうトゥリア。まずは衣食住の確保だ』


巻き込んでしまったふわふわとした白い毛並みの猫。トゥリアと名付けたその猫を抱き上げて胸元に抱えれば体のラインが目に入る。ふっくらと膨らんだそこを見て、少し死にたくなった。

これといって物珍しい色合いでもないブラウンの瞳を細め、足元の影を見る。意識を集中すればうねうねと動いた。
能力はどうやら健在のようだ。喜びと安堵がよぎる。

これで無くなっていたらいよいよ神を抹殺しにかかるところだった。


人の気配のない、がらくたの山の中立ち上がり歩き出す。出来ることは沢山ある。死ぬつもりもないし留まるつもりもない。
帰るために生き抜こうじゃないか。

固めた決意を飲み込むように天を仰ぐ。広がる青空には何隻もの船が飛んでいた。


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