朧月の快楽





「ひゃあっあがっあぐっひっ気持ち良い」


後孔にクチャリと媚薬入りローションを垂らし、収縮を繰り返す襞を丁寧に緩めたあと、坂本は陰茎を突き立てた。


「ひゃああっあっあがっ、そこっ奥えぐってぇっん」
「チッ」

酔っ払った飯沼は喘ぐ。加えて媚薬入りローションが相乗効果になり、飯沼の脳ミソを溶かしていった。好きで媚薬入りローションを使っているわけでないといえ(坂本の家には媚薬入りローションしか置かれていなかった。何もなしで行為に及ぶよりマシだと判断したのが過ちであった)罪悪感が残る。

「ひっあっ、そこ、もっと動いてぇん」

深く突き刺し腰を動かすが、罪悪感と興奮が入り乱れ、今一つ行為に集中できない。そんな坂本を飯沼は煩しく思ったのか、坂本の肩を掌で押す。


「あっ悪い。痛かったか」
「ちっ違うっふっあっっ! ひゃっ深いっ」

焦りながら、飯沼の内側から出ていこうとした坂本だが、違うと叫んだ飯沼の手によって止められる。制止のさい、自分の内臓を引っ張るように出ていく陰茎を追うように飯沼は動いてしまい、結果、坂本と飯沼の位置は逆転してしまい、馬乗りをする形となったのだ。自身の体重のせいで一気に陰茎は飯沼を最奥まで突く。鍛えこんでいる感覚が身体中を支配し、敏感な体は身震いした。


「ひゃああっあっあがっ、そこっ気持ちいいっあっ良いよぉん、薫のおっきいふぁっあ」

自由自在に腰を動かす飯沼。普段の飯沼からは考えられない痴態に坂本は喉を鳴らす。同時に彼をここまで淫乱にしたのが、自分ではなく柴田だということに、不透明な焦燥を感じたが吹き消すように息を吐く。

「もっとっあっあっひゃっああんっひゃああぐあがっっ!!!!!!」


飯沼の腰を坂本の大きな掌が食い込み、揺らす。陰茎に限界まで広げられた後孔はぐちゃり、ぐちゃり音をたてる。

「ふっ激しいっ薫良いよっもっと、もっと薫のちょうだい」
「誘うんじゃねぇよ」

涎を垂らし嬌声を漏らす飯沼はそこら辺の女より興奮を呼び起こす。陰茎を下から思いっきり突き上げると、飯沼は坂本の腹のうえに手を起き快楽に飲まれた。精液まみれになっても貪欲に快楽を追う。


「イくっいっちゃうよぉ、薫っ、薫ので僕、イっちゃうよ!」
「っっーーイけよ」


淫らに嬌声を吐き出す飯沼の後孔は坂本の陰茎を貪る。締め付ける飯沼の期待に答えるように坂本は腰を突き立てる動きを激しくする。ついでとばかりに陰茎の裏筋を指の腹でさすってやると、飯沼は身体をびくんと飛び跳ね、爆した。精液はびゅくんと坂本の腹のうえに飛び散った。
溶け切った瞳をした飯沼は肩で息をして乱れた呼吸を整えたが、鍛えこんでいた坂本の陰茎が未だに自己主張をすることに、不服と顔を歪ませると、笑う。
飛び散った精液を指で拭い、口元まで運ぶと、クチャクチャと味わい、坂本へ唇を押しあてた。当然のように、精液を坂本は流し込まれたが、拒絶することなく、甘んじて受ける。
舌を絡ませあい、坂本が飲み込んだことを確認すると飯沼は口を離した。


「薫っうっはっあ、薫も一緒にイこうよ」


わざと意識を反らそうとした坂本を離さないというように、後孔に力を入れる。びくんっとさらに大きくなった陰茎の形を味わっているかのように喘いだ。

「ひゃっあっあぐ、ね、もっかい、しよう」


精液に塗れた顔で飯沼が誘うと生唾を飲み込んだ坂本は、馬乗りした飯沼の身体を再びひっくり返す。尻を後ろに向けさせた後、ズコズコと激しく突いた。


「ひゃああぐぅぅあがっひゃあっああっあっあ゛あ゛良いよ、もっと薫、もっとちょうだいぃぃぃ」

「少しは黙れっっ」


嬌声を醜聞など考えず叫ぶ飯沼を押さえるように、坂本は指を飯沼の咥内に押し込め噛まれる。このままでは理性が保てなくなるためだ。しょせん、一時の夢なのだ。夢から醒めれば愛しい人はすべてを曖昧にして忘れてしまう。理性など飛ばして求めてしまったら、取り返しのつかないことになる。それは駄目だ。彼の幸せには繋がらない。彼、飯沼には好きな人がいて、自分は彼の唯一の友人なのだ。失うわけにはいかない。一時だけの熱で。

首筋に顔を埋めるように飯沼を感じると瞼を閉じた。
首筋から感じる香りに愛しさを感じながら。










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