ぼくおとこのこ





子宮が欲しかった。追従を許さない叱咤された心髄が上乗せするように、僕に枯渇させる。

先日、ネネちゃんに相談した。
一層のこと女の子だったら良かったのに、と。そしたらトラも僕を性的な対象として愛してくれただろうか。欲望による熱をぶつけてくれただろうか。それとも情けにぶら下がっている状態なので、僕が女の子だったとしても状況に変貌は望めなかっただろうか。トラが帰宅する度に漂わせる女性特有の甘い芳香に胸を痛めることも、痛める自分を恥じることもなかっただろうか。女の子だったら、なんて有りもしない、もしも、に両手を食い込ませ舌を噛むこともなく生きていただろうか。醜さに触れると淘汰して欲しくなる。醜い部分はトラを愛して止まない気持ちの塊なのに、自己愛に充たされ、痛いを醜いと思うことすら、愚かになる。間違っている。自己中心的思考回路でしかない。けど、思っちゃうんだ。痛みを感じるたびに、女の子になりたいって。トラの子供を産める生殖器が欲しい。子宮が欲しい。精巣を切り離して、子宮を吸収したい。トラの陰茎を包み込み絞り込めるヴァギナが欲しい。アナルに用はないんだ。アナルだけでは充たしてあげられない。トラが僕に求められるのを躊躇っているのだって知っているんだ。女の子じゃない身体。痩せ細っていて全体的に貧相で欲望を駆り立てられない、それだけで惨めな身体。ねぇ、ネネちゃん。僕はこんな身体いらない。いらないなんて生んでくれたお母さんに対して失礼なことだって知っているけど、トラの欲望さえ充たすことが出来ない身体なら、意味がない、ん、だ。

暴言を吐き散らした後で、すっきりした脳ミソに対しての恥とネネちゃんに対する謝罪が浮かび、ごめん、と口にしたら、おでこを叩かれた。謝罪するな、という意味らしい。ネネちゃんは腕組みしながら、馬鹿って大声で叫んだあと、大声で泣いた。ネネちゃんが泣きと僕は躊躇いを隠せなくなって、やっぱり謝罪を繰り返してしまう。その度に馬鹿、と言われる。

泣き止んだネネちゃんは突然立ち上がると、仁王立ちして、パンツを下ろす。いくら、女の子に興奮しない僕でも、パンツを下ろす行為がいけないってことくらい察することが出来たので、ネネちゃん、ネネちゃん、と静止を促す言葉を投げ掛けるけど、ネネちゃんはとまらない。脱ぎ捨てたパンツをベッドに投げ捨てると、スカートを捲り上げ、ネネのを舐めれば良いでしょう、と艶やかな声で述べた。ネネちゃんのヴァギナからは真っ赤な血が垂れていて、子宮の死骸なんだよ、って自慢気に告げた。え、け、けど、駄目だ、よ、って戸惑いながら告げるけど、女の子になりたくないの? っていう甘美な誘いを断れることなく、舌を伸ばす。
干上がった舌に乗せられた子宮の死骸は止めを刺すように、餓えを与える。僕は自分が子宮を求める理由も把握していたので、飢餓による苦しみは罰だと受けとめた。
ネネちゃんの子宮は餓えの味で、けど、餓え、だからこそ、僕が求める女の子の象徴ということが、よく判った。

遠慮なんかしないでいっぱい飲むと良いよ

ネネちゃんは叫ぶ。僕は口を真っ赤にしながら、子宮の死骸を飲んだ。赤ん坊がイチゴジャムを上手に食べきれなかった時の光景みたいだね、と陽気な声が頭上から降ってくるので、そうだね、と答えることしかできなくて、彼女にこんな行為を強制してしまった自身の醜態が露呈し恥処では済まされない、罪悪感に包み込まれながらも、餓えに死をもたらす死骸を摂取することをやめることが出来なかった。

死骸を全部飲み干したあと、僕の味覚は麻痺し、舌は枯れはてた。ネネちゃんは良かったね、と頭を抱き抱えてくれて、その日、女の子になる夢を見たけど、目を醒ました僕に待っているのは男の生理現象で、誰もいないマンションでひっそりと泣いた。







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