群青色の排他
(充葉とジル)
一層のこと、失くしてくれれば楽なのに。
僕は眼鏡の隙間からそんなことを考えていた。胸の中で退く群青色の排他が、己の中で死を迎えれば、どれほど、幸福に酔っていられただろう。いや、幸福に酔うふりができただろうか。彼にすべてを求めなければ、彼へのみすぼらしい愛情を無へと帰還できれば、僕はもっと正しく呼吸ができたはずだ。
瞼を閉じるたびに、シャボン玉が眼鏡の隙間から出ていく。レンズがぱりんと一瞬割れたときにだけ、僕は彼に酔う世界から、一瞬、抜け出し、正しいと世間一般に言われる世界へ戻ることかできる。けれど、すぐに薄い膜は形成され、僕を酔わすのだ。
誰に言われるまでもなく、すべての出来事が歪んでいると僕自身が一番よく知っているのに、後から突き刺さる頤使に報いることはできず、淡々と、瞼を閉じて、涙を殺すふりをする。
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