「ひぎぃっぁ―――」

断末魔のような悲鳴が聞こえる。
ギーゼルベルトは強引に二の腕を掴み、身体を逸らすようにして自身の方へ、生贄として烙印を押され殺される直前であった人間の身体を引き寄せた。

協会との駆け引きで、吸血鬼が人間を攫い食すのを黙認する代わりに、協会側から要請があったとき人を殺してやらなければならないことになっている。
勿論、下等種である人間に対して吸血鬼が契約など知らぬと暴虐の限りを尽くすことなど可能だが、あまりにも長い時間を退屈を持余し生きているので、暇潰しには良い戯れだった。
ギーゼルベルトは異教徒に乗り換えるという地主を殺すよう協会から命じられ、一仕事終え報告の為、立ち寄った協会で殺される寸前であった、生贄を見た。
名前を尋ねると煌と名乗った、命の灯を消す寸前の男を引き取ったのは、気紛れに過ぎないが、何故か第六感のようなものが、ギーゼルベルトに見逃すなと囁いてきたのだ。

「ひっ――ひぐっぁあぁ、痛い、痛いよ―――」

痛い筈だとギーゼルベルトは口角を上げる。処女であった男のアナルは、誰一人として埋め込んだことがない堅さをしていた。生贄になる前に通らなければならない拷問の傷が癒えるのを待ち、抱くことにしたのだが、ベッドの上での状況を把握せず、性的な行為に疎く、そのようなことをすること事態が、人間が信仰する神に対する背徳だと信じていた煌は押し倒され、下半身を露わにされても、なにをされるのか理解していなかった。

ただ、狂気染みたギーゼルベルトの気配に脅え、暴れたので、仕方なく、処女をいただくまで、痺れ薬を飲ました。
口に含んだ痺れ薬を飲ますと、いったい何が起こったのか理解できていなかった煌は、ああ、嫌、嫌よ――と唯一、抵抗を許された口で否定を繰り返すばかりで、犯される前から目には涙が浮かんでいた。
すべての否定する処女のアナルにギーゼルベルトは強引に指を突っ込もうとしたが、あまりにも泣きながら嫌だ嫌だというので、仕方なく自身の唾液を指に絡ませた。吸血鬼の体液を人間が吸い込むと媚薬効果があり、痛さが和らぐと伝承では言われていたことを思い出したからだ。
潤滑油変わりに唾液を纏わせ、閉じこもった貝のようなアナルに突き刺す。
「ひぎっぁ、なによ、ああ、いや、よ、嫌、ヤメテ――」
煌は背を逸らしながらギーゼルベルトの指を一本吸い込んでいく。一本と言っても巨漢であるギーゼルベルトの指は通常の人間より太く長い。慣らされなかったアナルからは早くも襞が決壊して血が漏れていた。溢れ出る血を目撃したギーゼルベルトは若い頃であったのなら吸血衝動に身を委ねていたな――と苦笑いした。
媚薬効果があったのか確認が出来ないまま、ギーゼルベルトは煌の狭すぎる肉壁を弄りながら、彼がもう良いかと下した独自の判断で、自身の怒張を煌の中へ強引に突っ込んだ。

「―――――!! あが、ひぎぃぃ――!」

声にならない悲鳴が煌の口から洩れた。後ろから強引に肉棒をいれられ、体の自由を痺れ薬によって剥奪された煌は、許容範囲外を超えた化け物が自身の体内に入ってくるのを受け入れるしかなかった。

「ん、なかなか気持ちが良いな」

狭すぎるが良いだろうという呑気なギーゼルベルトの問い掛けなど煌の中には入ってこない。腹が内部から真っ二つに引き裂かれていく感じだ。尻たぶをギーゼルベルトの大きな手のひらが掴んでいたが、もはや、尻より下の足がちゃんとついているのかさえ、判断出来ない。

「はぁっ―――ぁあ、痛い、ぁああ、ひぎゃぁぁあ、痛い、痛いよ、ワタシ、嫌よ――、嫌ぁああ、はぁあ――」
「嫌ではないだろう??」

痛い、痛いと言ってくるので、どれだけ嫌なんだとギーゼルベルトは思わなくないが、媚薬効果があるといった伝承が本当だったのか、煌の身体は劈かれるたびに、勃起を始めた。にやりと、意地汚いギーゼルベルトの笑みが漏れ、勃起した、チンコを鷲掴みにされる。

「ひぃぃっ――、そんな、駄目よ、そんなところ、触ったら」
「神にでも罰せられるというのか、愚かめ。協会がお前に何をしたか忘れたのか」
「ちが、違うよ――、ダメよ、いや、よワタシ、やぁあ、っ」
「甘い声を漏らしているではないか」

嫌だといいながらも、アナルへの刺激だけではなく、チンコを直接つかまれてしまうと煌は喘ぐしかなかった。今まで知らなかった快楽と痛みが爆発するかのように身体の中を流れていくのが判る。

「ちが、こんなのワタシじゃないよ、いや、ぁああ」
「間違いなくお前だ! ふははは――これは、お前の血を飲むのが楽しみになってきたぞ」

高笑いをしながらギーゼルベルトは自分だけが犯した処女の味が最高に甘くて気持ちが良いものだという伝説に期待しながら煌の肉壁を突き刺した。スパン、スパァンと肉と肉がぶつかり合っていく音が交差しながら聞こえていく。
合間には煌の悲鳴と、嬌声が空間を支配していた。




そんな暴力的なセックスを一晩中しているのだから、快楽も痛さも混ざり合い、断末魔のような悲鳴しか叫ぶことが出来ず、身体が動かなくなるだろうと人間の脆さをギーゼルベルトは嘆いた。しかし、ここまで相性が良いセックスドールは初めてだと、目を白くしながら涎を垂らす煌の姿を見つめながら、もっと自分を満足させろと、腰を突き上げる。

血はセックスが終わり煌が恐怖で脅える様子を眺めながら吸ってやろうと決めていた。これだけセックスの相性が良いのだから極上の血にありつけるという期待を抱きながら。


しかし、まぁ、あの時の血には及ばないだろうがな…――


幾多の血を啜ってきても、行き倒れたギーゼルベルトを助けたあの甘い血の持ち主には敵わない。今、こうして抱かれて壊れかけている煌とて同じことだろう。同じであるのなら、一時は誤魔化すことが出来るがどうせすぐに足りなくなる。

チっと舌打ちをしながらギーゼルベルトは苛立ちをぶつかるかのように煌の身体を貪った。

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