ギーゼルベルトとファン | ナノ




腰の違和感に眉を顰めながら煌が瞼を空ける。薄い睫毛の先から、現状を把握するかのように立ち上がろうとしたが、後ろから屈強な腕に身体を拘束されている事に気付き、身動きが出来ない。せめて反転してギーゼルベルトの顔を見ようとするか、オールバックが融けた眠っている時だけ幼さを残す顔を覗き見ることを拒絶するかのように、抱き抱えてられている腕は弱まることを知らない。

「しょうがないですね」

ギルだから特別ですよ! と起きてもいない相手に照れながら煌は言い放ったが、後孔の中でギーゼルベルトの陰茎が肥大していくのを悟った。昨夜は抜かれる前に落ちてしまったので、まさか、刺さったままだと想像していなかったが、慣らされた皮膚をさらに限界まで押し上げるように膨れ上がっていく動きを粘膜で感じてしまうと、ギーゼルベルトの陰茎が後孔に挿入されたままなのだということを認めざる終えない。

「ギル……起きて、退けなさい!」

このままではセンセイのお尻が破裂してしまいます! それは、嫌でしょう! と煌は必至にギーゼルベルトの名前を呼ぶが反応はなく、朝勃ちという現象だけが逃れられず膨らんでいく。
動くことをせずとも、ギーゼルベルトの陰茎は平均男性より長く太い。煌の前立腺を嫌というほど刺激してくる。目覚めには強烈な快楽と許容範囲を超えた肉棒は、膨れ上がると同時に内臓を刺激してきて、痛みをも与える。

「ギル――!」

いい加減にしなさい! と叱咤すると、ギーゼルベルトの口元がニヤリと動いた。
組織最強の殺し屋と名高いギーゼルベルトが恋人とのベッドの上といえ油断する筈もなく、煌が目覚める前から意識はあったが、面白いので暫く黙っていたのだ。勃起を促進させたのもわざとである。

「煩い奴だな」

顎を強引に掴み、顔を上に向かせると覆いかぶさるようにキスをする。舌を蛇のように絡ませて唾液を送り続ける。飲めないくらい圧迫して顔を真っ赤に染める煌を見るのがギーゼルベルトのお気に入りだった。他の女や男ではキタナイな、という感想すら抱かなかったが、煌がするとどうしてこう面白く欲情するのであろうか。
呼吸がまともに出来なくなった煌は蕩けた視線をギーゼルベルトに向ける。
身体を回転させ、ギーゼルベルトは煌の上に来るような体制を取った。太腿を持ち上げ、勃起している煌の陰茎を自身へ見せつけるように、腰骨をあげ、打ち付ける。

「ひっ――ギルのは大きすぎます」
「お前が育てたからな」
「っ――ぁ、はぁぁ、ギル、もっワタシのダメになっちゃいます」
「こんなに膨らませておいて良く言う」

我慢汁を垂れ流す煌の陰茎を爪先で突く。僅かな刺激でも達してしまいそうだが、無理を貫き通すと、素直に慣れないまま老いてしまった身体は精液を出さなくなる。ただでさえ、昨晩から続く行為の延長線上。吐き出す白濁は薄く姿を変えている。

「ぁ――どうして、とめるんですか?」
「お前だけ気持ち良くなってもつまらないだろう。俺が」

にやりとギーゼルベルトが口角をあげた。煌の盛り上がった熱が止まるのを待ち、興奮が落ちてきたところを見計らって、最奥まで劈く。もはや、嬌声にすらならない悲鳴が「おふっぁ――」と漏れる。色気も何もないが、ギーゼルベルトは可愛く喘いでいる煌より自身の肉棒によって体が言うことを聞かなくなり、普段は見せない醜聞を拝む方が好きだった。
刺激を強くして、ぱぁん、ぱぁんと皮膚が打ち付ける音を強くしていく。もはや、煌は連続で達しており、精液は出ていないのだが、ギーゼルベルトは捕食者のように身体を貪った。止めなさい、止めなさいと言いながらも腰を振る動作が止まらない煌を抱きしめながら欲望を埋めていった。



行為が終わった後、再び喧嘩になったのはいうまでもない。




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