ギーゼルベルトと煌 | ナノ





「アナタワタシデオナニーシテイルヨウネ」

誰だったか。煌に良く似た女が艶やかな脣を動かしながら告げていた。俺は女の太股に歯を立て、膣を舐めながら、正直な女の口を喘ぎ声に変えた。
勘が鋭い女だったが、床の上では必要のない能力だ。女など男に抱かれていれば良いのだから。
夢現のように女との縁は切ってしまった。

だが、今、腕の中で煌を抱いていると女の告げていたことは事実だったのだろう、という込み上げる熱が教えてくる。
首筋に手を絡める。片手だけで絞め殺せる細く、今まで見てきたどの女よりも白く透けている膚。顎に触れると骨が出ている。砕くことも容易いが、手加減をしながら斜めにあげ、口付けをしやすい体制にする。息が上手く出来ないのか。煌は強気な口振りで誘うくせに、いつまで経っても慣れない。初心を見せられているのか、自分が獰猛に貪りつくしているか、どちらかであろう。
口付けをしながら、うっすらと目をあける。脳内で補正する必要もなく、乱れる煌の姿を脳裏に焼き付けていると、幼く自慰行為しか知らなかった十代の自分が抱いていた欲求が埋められていく。
獰猛なまでに求めるのは幼い自分が顔を出しているからだ。飢餓が溜まり死にそうだった頃の自分が。あどけなく煌しか知らなかった自分が求めている。欲しい、欲しいと産声をあげ。若さがもて余すエネルギーをぶつけるよう。満たされることがない欲望を求めて。
もし、この獰猛なまでのセックスを終え、三十代になってしまった己の性欲を満たす為に行動を開始するなら、もっと楽しい今とはまるで違う抱き方をするだろう。
こんな自身の性欲を満たす為に激しく動くのでは煌の良さを自身の飢えを満たすことなど、できない。
もっとゆっくり。粘着質に時間をかけていたぶっていく。嫌だと告げて泣いてきても子供ではない自分は静止することなど出来ない。
煌を観察して視線だけで達せられるよう。指先で皮膚に触れただけで、勃起してしまうよう、抱き潰したい。アナルに自身のペニスを入れて、形を専用に作り替える。他では物足りなくなり、例え他のものを挿入されても射精出来ない身体に作り替える。


「ひっーーぁ、ギーゼルベルト」

煌が肩に手を回してきた。毒爪のような鋭利な先端が肩に食い込もうとするが、筋肉に弾かれ、折れていく。
痛いのか、目尻を曲げるが、腰骨を持ち上げ、アナルに触れる。肉壁が腫れて卑猥になっている。俺が抱くまで処女だったという言葉に嘘はないようだ。蚯蚓のように、ぐにゅぐにゅと腫れ上がり、男を誘う。昨日も抱いたばかりなので、指の一本くらい簡単に飲み込んだ。二本を入れると、平均的な男の陰茎くらいの太さに俺の指はなる。もし他の人間としようと言うものなら、すぐに物足りなくなるだろう。布石は獰猛な中にも落としている。


「随分といやらしいな、煌。お前は俺の知らない間に淫乱になったものだ」
「っーーワタシだって、こんなギーゼルベルト知りませんよっぁ、ひっぁ、ワタシのギーゼルベルトはぁ」
「何を言おうとしているかは知らないが、お前の知っているギーゼルベルトなどいない。俺は昔からお前を抱き潰したくて仕方なかったさ」

煩い口に蓋をする。舌を舐めるように入れて吸いとる。知っていたくせに、お前はなにを言っているのだという怒りを込めて、三本に増やす前に俺のペニスを埋め込んだ。
始め皮が破れ血がだらだらと裂けていたアナルだが、拡張され俺のものを程好く締め付ける名器へと姿を変えた。血が流れていたころも、中々に良かったが、今の挿入しただけで達してしまう煌の顔の方が興奮する。

「ひぃぃっぁ、あ、っぁ、」
「早すぎるぞ。耐えることすら出来ないのか」
「はぁっぁ、ぁ、ギーゼルベルト、ぁ、」

びくん、びくん、と煌が腰を動かす。まるで飛び魚のようだ。口が間抜けに開口され、この綺麗な顔をもっと歪ませてやりたくなる。堪らないよ、煌。俺のにならない、俺の煌。
肉壁を擦るように腰を動かすと、内蔵が引き摺られるような感覚に慣れないのか、死にそうな顔をしながら、喘ぎはじめた。俺は煌の限界など気にせず腰を打ち付ける。


まだ満たされない。早く俺に寄越せ。抱いても抱き足りない。お前を。









「ワタシアナタミタイナヒトハジメテデアイマシタ」
「ボウリョクテキナクセに、ホントウニタイセツナヒトニハ」

「ゴウインニナレナイナンテ、イミナイデスネ」

腰を振りながら頭のなかに声が響く。そうか。あの女の声か。
殺そうとしたが、殺してしまえば本音に写るので、部屋から俺が出ていったのだ。
勘の良い女は腹立つ生き物だ。

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