柴田と飯沼 | ナノ



実は歳を老いてから柴田くんとするセックスが中々、好きだ。
別に昔のが嫌いだったわけじゃなく、僕は柴田くんがしたいならしても良いけど、みたいなスタイルをずっと貫いてきたから。性欲が他より強いわけじゃないし、さすがに三回も強姦されてしまえばトラウマになっても可笑しくないので(まぁわざわざ言うことじゃないので、誰もそのことには気づいていないが。三回という数字は良く見れば異常で、少々、面白い)柴田くんとセックスしたくてたまらないんだ! なんてことは滅多にないけどさ。
それが、歳を老いてからは少々、状況が変わってきた。偶に、もっと欲しいと言いたくなるくらい、僕は今の柴田くんとするセックスが好きだ。
昔はあった若々しさが落ち着きを見せ、けど、彼本来の性質が子どもなので、荒々しさの根っこは消えないんだけど、少々強引でどこか義務的で能動的なセックスが気持ちが良い。昔は激しさを求められていた行為が、ゆっくりと後孔をローションで慣らされて、指を増やされる。回数をこなせば良いと思っていた行為が、一晩につき、一度で終わる。
僕の後孔を痛みを感じないほどに解し、ゆらゆらに解かされていく。頭の中が朦朧になって、僕は思わず柴田くんへキスを求めるのだ。
柴田くんは、めんどくさそうに眉を顰め、けど、僕が強請らなければ彼が拗ねることをしっかりしっている。汗まみれの前髪をあげるように、おでこに触れて、目元を照れ隠しのように塞ぎ、キスをする。三本がしっかり根元まで入るようになると、柴田くんの陰茎がズボンの中から出てくる。
僕も少しは彼へ奉仕できるようになったから、ゆるく勃起している彼の陰茎へ舌を伸ばし、猫が撫でるように頬張る。柴田くんは下手糞という眼差しを僕へ向けているけど、本当は下手糞な僕の愛撫が嫌いじゃないのだ。彼の陰茎は僕が咥えこめなくなるほど、大きくなっていく。僕は少しだけ頬を染めながら、自分の後孔の入り口を主張するかのように手を伸ばし、襞を広げる。「ちょうだい」と舌足らずだが、色気のない掠れた声で強請ると柴田くんは、ゆっくり僕の中へはいってくる。
昔は挿入までの時間が十分程度だったが、今は挿入まで四十分以上かかる。ゆっくりした時間の流れが焦ることなく僕らの間には走っている。柴田くんの陰茎が僕の中へはいってくる。すっかり彼のサイズにあわせられた肉壁たちは、彼の陰茎にひっつく。きゅうっと彼のものを包みこむ。男の後孔はサイズを覚えていても、いつまで経っても慣れるものではないので、柴田くんは皮膚を破かないように、のろのろ、入るのだ。昔の彼だったら、この時点までくるともう熱が抑えきれなくなって、強引に入ってきていた。あれも嫌いじゃなかったけど、今は愛情を確認する義務のように、僕へ彼のものが入ってくる感じがするから、とても好きだ。こんなセックスだったら一晩に何回でもしたんだけど、残念ながら僕らは体力もなくなってしまった。まぁだらけるばかりで自分の身体を鍛えない僕が主な原因だけど。一度セックスをするだけで、へとへとなのさ。

因みに、歳を老いてから君とするセックスが好きだ、という台詞は当然のように柴田くんの前で告げたことはない。そんなことを言えば、柴田くんは拗ねてしまうだろう。目に見えて判るよ。頬っぺたを膨らませて、彼がへそを曲げる姿が。面倒だから口が裂けても言えたしないね。
ああ、けど僕がこんな風に思っていることは彼は薄々気づき始めて「なにか隠してるだろ和人!」といつか怒鳴りつけてくるので、結局のところ、喧嘩することになるのだろう。柴田くんは人に気を使えてマメだからね。ようするに、空気を察するのも上手い。飯沼祐樹の育て親だというと、柴田くんを良く知らない人間にも良く伝わるかな。隠し事されるのなんて、嫌で嫌でたまらないから、僕みたいな甘えることが出来る相手には素直に聞いてくるさ。正直に答えるとプライドが傷つけられたって勘違いして、怒るんだろうな。目に浮かぶよ。けど、君は間違っているよ。別に昔の君が下手糞だったって言っているわけじゃない。時間を重ねるにつれ、君とする行為が好きで好きでたまらなくなってきた僕がいるという単純な話なんだけど。いつまでも子どもな部分を残す柴田くんには伝わらないんだろう。
まぁ、それが彼の良いところでもあるんだけど。




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