ジルと充葉 | ナノ



「充葉なにしているのぉん」

パソコンを叩いていたらジルが喋りかけてきたので、小説を書いていると適当に返すと、僕の肩を掴んできた。長い爪が食い込んできて痛かったので薙ぎ払うと不満そうな顔を見せた。
頬っぺたを膨らませて僕の頬っぺたをつかむ。無理やり上を向かせてキスしてきた。真っ赤になる僕を見てジルは笑った。馬鹿かお前はと照れ隠しに叫ぶと自分だけはなにをしても良いのだという双眸でこっちを見た。僕の唇にはジルのグロスがべったりとついていた。無香料のくせして、甘い香りが鼻腔を過る様な錯覚をした。
ジルは再び僕の頬っぺたを掴んだ。もう僕は抵抗しない。ジルは昔からそれを知っている。ずっと前は嫌でたまらなかったけど、今は僕のことを理解しているという解釈で生きている。随分とお気楽な思考回路になったものだ。
ジルの舌が僕の咥内ににゅるにゅる入ってくる。蛇の用に長い。率直に「蛇か」と息継ぎの合間に返すと「酷いよぉん」とジルは泣きそうな顔でこっちを見た。蛇のように長いなんて凄いじゃないかと頭を撫でると、安堵した子猫のように顔を緩めた。赤ん坊のようでもあるな。
堅いワックスで固められた髪の毛をくしゃくしゃに撫でる。楽しくなってきてぐしゃぐしゃにすると、ジルは泣きそうな顔でこちらを見た。ざまぁ見ろ。あはははは! と高笑いすると、椅子のと僕の足の隙間に手を侵入させられお姫様抱っこされる。
この歳でお姫様抱っこは恥ずかしいだろう! と背中を叩くが効果はなし。ジルは僕を仕事部屋につくった仮眠ベッドへ運ぶ。因みに仮眠ベッドを作るときにひと悶着あったが、今は仕事する僕をジルが寝転びながら眺める専用の場所になっている。乱暴に降ろされた僕の唇に噛むようなキスをしてくる。

「充葉はぁん、少し乱暴にされるのがぁん、好きぃだよねぇん」
とかふざけたことをいうが真実なのでしょうがない。誰のせいで作られた性癖だと思ってる。お前のせいだろう! というと悲しそうな顔をするので口にチャックして、ついでに煩いジルの唇に口付けを返す。唾液を交配するように。ジルは僕の唾液が好き。僕もジルの唾液が好きだ。
にゅるにゅる、にゅる、にゅる、僕の中にジルの舌がぜんぶが入り込んでくる。あは、やばい、擽ったい。下半身が気持ちよくなってきた。

「充葉ったらぁん、勃起してるうん」
「残念だけど、そのようだ、ジル。てか、お前も勃ってんだろう」

負けず嫌いの僕はジルの陰茎を握り返す。僕以外に勃起しないと宣言している陰茎は、普段の倍の大きさになりながら上を向いていた。お互い様だ。お互い様。

「昼間からぁん、馬鹿になちゃうねぇん」
「もう十分ばかだろう」
「ふふふ、そうかもぉん、充葉ったらぁん」



お前といると僕は四六時中馬鹿さ。
文句あるか?


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