スオウと翼 | ナノ



どうしてこうなった。

「ひぃぃっ――ぁ、もう、ヤダ、限界だって」
「限界くるの早すぎない?」

壁に手をつけて、背後から挿入される陰茎の大きさに堪える。
普段通り、晩飯を食べて、映画を一本観て、歯磨きをして寝ようか、となった。毎日セックスしているわけじゃねぇので、今日はするんだろうか? とドキドキしていた乙女か俺は! という思考の自分をぶん殴ってやりたい。
なにが24時間耐久セックスだ。
馬鹿か。
スオウ。お前はAVの見過ぎか? 俺以外とはセックスしたことないってのはガチなのか。こっちの世界に引っ張られて随分、俺の常識を覆すことが起きたけど、お前はマジで童貞だったのか。女子は好きで「それ作ってるのお前の組じゃねぇのかよ」って敵対する組織が発行するAVとか隠しもっているのは知っているけどさ。
有言実行。
良い言葉じゃねぇか。今の俺にはウンザリだけどな。
もう10時間くらい、ぶっ通しでセックスをしている。


奥歯を噛み締めているのに、声が漏れて、首筋にちゅっと可愛らしい音を立てられながら、項を舐められた。

「ヤ――! 舐めるな、よ、スオ―――」
「え――舐めてないよ?」
「嘘っぁ、つくな、ひぃぃぃっぁああんぁあん!」

首筋を伝って、耳朶を甘噛みされる。唾液がぐちゅぐちゅする音が直接、入りこんできて、何気ない行動なのに、俺の陰茎はゆるく勃起し、挿入を防ぐように、収縮していた後孔の襞がゆるまり、スオウの肉棒を受け入れる準備を初めていた。

「音、よく聞いてよ。翼ってばいつもこんな音をお尻から出してるんだよ」
「ひゃぁあ、ちが、出して、ねぇよ――も、馬鹿ぁ」
「出してるって。ほら」

グチュグチュチュチュ――
耳を弄るのを辞め、スオウの声に誘引されるよう、音の正体を掴んでしまう。
目線を軽く下げると勃起した俺の陰茎は痛いくらい腫れ上がっていて、後孔への侵入を許すかのように、空気が粘膜を爆発させる音が聞こえていた。

「ひぃぃっぁ――――! も、なんでぇ」
「なんでって? そりゃぁ、翼が感じちゃってるからでしょう?」
「スオウが、こんな、ひっぁああ、んぁああ、にした、くせにぃっ」
「うんうん、ごめんね」

頬っぺたに軽くキスされて、油断した俺を突くように、指先で乳首に触れた。すっかりスオウとの重なる行為で開発されてしまった俺の乳首はスオウが指の腹で弄る度にびくんっ! と反応する。

「も、乳首は、ヤダって」
「敏感になったよねぇ。いつかAVみたいに絆創膏しなきゃ外に出れなくなったりして」
「や、馬鹿ぁ――なるか、よ、チクショーーお前の妄想の中だけにしとけっ」
「そんなこと言ってもこっちは、ビンビンに反応してるよねぇ。何時間もセックスしているのに、翼の身体ってセックスに慣れてない処女みたい」
「ひっぁああ、ひぃぃん、ど、童貞のくせにぃっ」
「翼にバコバコ入れてるから童貞じゃないよ」

今日、何回目になるか判らない挿入が行われた。
油断した所を肉壁を押し上げてスオウの陰茎がブチこまれる。
ブチュ、グチュプププ――

「ふぁあぁ、ひゃぁあ、ぁんん、もひっつぁあ」
「――はっぁ、キモチィ」

スオウの背中に手を回すことも許されず、俺は壁に爪を食い込ませるように堪える。後ろからセックスされるより、前から抱きしめられた方が好きだなんて口が裂けてもいえねぇ。
けど、スオウには気付かれているような予感がする。判った上で、背後から責めているのだ。

「何回しても緩くならないし、暫く外に俺が出てるとすぐに堅くなっちゃって。けど、俺のを受け入れたらきゅう、きゅうって締め付けてくるんだよね。翼って、意識してやってるの?」
「そんなわけ、ねぇだろっ――」
「あ――じゃあ、天性の淫乱ちゃんなんだね」

違う!
違うのに俺の口は否定する言葉を持たず喘ぎ声を発し続ける。
スオウは動きを早くして俺を突き上げる。雄の色香をこれでもかと振りまいてくる。スオウに触れられるだけで、AV女優も真っ青な感じかたをしちまうもんだから、堪ったもんじゃねぇ。

「ひっぁ――やぁ、スオウ、スオウ」
「あ、ようやく飛んじゃった?」
「ひっぁあ、も、やだ、キス、キスして、ひぃぃっぁあぁん」
「しょうがないなぁ」

スオウが俺の顎をつかむ、後ろから濃厚なキスをされる。酸素を送り込まれるように、舌先を絡ませ合って、嬌声が吸いこまれていく。


「はっぁ、もう、イくっぁ、スオウのおちんぽハメられて、イっちゃうっ――」
「イっても良いよ。俺もっ」

今日何回目になるか判らない。数えることすら馬鹿らしくなってくる射精をする。
ブシャァァァァァ
壁に精液が付着する。今日の掃除当番の人、ごめんなさい。起きたら、掃除するから。
意識が快楽のまどろみに消えていきそうになる。

「ひぃぃっ!!」

達したばかりで敏感になった身体をスオウは劈く。
なにが起こったのかわからない俺は、寝起き状態の子どもで挙動不審にスオウを見たが、奴はにっこり笑って答えるだけだ。

「まだ、24時間経過してないよ」

この野郎、いい加減にしろ!




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