「すべての人間に優しいなんて、つまらないよ」

二番目に付き合った彼女から言われた言葉だ。俺はその言葉を聞いてごめんな、と謝ることしか出来なかった。俺なりに、特別扱いしていたつもりだったのだが、昔からこうやってすぐに俺は人を傷つけてしまう。正直な話、飛びぬいた依怙贔屓というのは、どうにも上手くやれないのだ。
友達も家族も、恋人も俺に関わってくるやつ、皆好きだ。好きだから関わってんだし、人間探せばどこか尊敬のようなものを抱く所が必ずあって、それを見つけた瞬間が俺は楽しい。人間と向き合って良い所を発見していくのが。
だって、悪いところばかり見つけていて退屈だろう。相手にも、何より、俺自身にも。んで、良い所をさ、見つけたら俺はつい優しくしちまう。そいつが笑っている所が見れたら、嬉しいじゃん。
単純にその程度の気持ちだし。なにも、率先して優しくしているわけじゃない。バイトのチケット余ったから譲ってみたらどうだ、とか。悩んでいる奴がいたら相談に乗ってやるとか、まぁ、普通だよな。別に特別なことしている自覚はねぇよ。
ただ、俺はきっと、他の奴より、そういうのが広い人間なんだろうっていう自覚はいくら俺でも持ってるぜ。
普通の奴って、大勢でつるんでいても、大なり小なり、順列があるんだけど、俺はそれがない。こういう無神経な所が、相手を傷つけちまうっていうのも、理解しているつもりだ。直さなきゃいけねぇし、恋人ができたら一番に大事にしなくちゃいけねぇのに、どうにも、上手くいかなくて、ついつい軽はずみな行動で相手を傷つけてしまう。
それは、年頃の女の子相手には、酷く残酷で、きっと俺のような恋人を持つと、退屈で仕方ないのだろう。
イベント事も、忘れたことはないが、この前、二日間クリスマス恋人と一緒にいたから、正月は友達と会っても良いだろうって考えて、一番悪いのは、そのことを恋人に上手に伝えられない俺自身のもどかしさだ。なんなんだろうな。
俺は一人しかいねぇんだから、ずっと一緒にいれるわけがないだろう、どこかで折り合いをつけていかなきゃいけねぇっていう俺の考えが、恋人たちには到底理解できないし、結局、俺は昔から染みついたこの性格を恋人の為に治すことが出来ねぇのだ。不甲斐無い。俺が合わせてやればいいだけの話なのによ。
友人に対してもそうだ。この前、サッカーしたから、今度は違うやつらとバスケしてぇっておもって、行動するのに、いつも一人くらいサッカーをしている奴が気に食わない顔をして俺を睨んでくる。睨まれたら、バスケ止めてサッカーに行くんだけど、なんとなく双方に申し訳なくなる。いや、その場は楽しんだけどな。終わって、自動販売機の下でぽつんと立っているときに、そういう、言い表しようのない気持ちが浮かんできて、背筋が凍る。
結局、人間なんだから、どこかでやっぱり区切りをつけて、付き合っていかなきゃいけねぇって思うんだけどよ。なにを優先するかとか、そうでないかとか。
あ――やべぇな、もっと、しっかりしねぇと。相手に傷ついて欲しくない。んなの、無理だってのは知ってるけど。やっぱり笑顔になってくれると嬉しいじゃん。その為に、なにか自分ひとりで分けるのはやめねぇとな。今度、恋人が出来たらクリスマスの予定立てる前に正月の予定を友達と入れていいか聞くことにしよう。まぁ、まだ恋人できねぇけどな。かれこれ、もう四年くらいいなくて、俺の大学生活って感じだけどな。

可愛い恋人が欲しい。


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