下着を眺める。黒に透けたレースが編み込まれていて、本来の機能を果たしていない。後ろはティーバッグになっているし。穿いたらお尻に食い込むんだろうか。食い込むだろう。二次元の受けは食い込ませていて、睾丸に当たって痛いって言ってたもん。尻の隙間に入り込んできて、濡れた穴が絡み付いて感じちゃう! とも言っていたわ。攻めは「パンツの意味果たしてねぇだろうが」だっけ。馬鹿ね。こんなの初めから機能してないわよ。布が一応、形としてついているだけじゃない。直ぐに全部が濡れちゃうわよ。しかも、帰ってから確めたら、股には穴が空いていて、大好きなブランドのパンツがこんなものまで同じ店内で売っていたなんて、恥ずかしくて堪らなくなった。
ブラジャーはやっぱり透けたレースだし、脱がしやすい仕組みになっているのか、ワイヤーが組み込まれていない。リボンが真ん中にあって、ゆっくりと私を見つめてくる。まさか自分が資料用ではなく、こんなものを購入し、どのタイミングで穿くか悩むことになるなんて。ああ、本当に負けた気分!
けど、中学時代の友達から「なんだか春子可愛くなったよ」って気さくに言われたら身体が芯から熱くなるし、高校時代の友達から「なんだか私たちも歳をとったよね」って言われると、確かにって気持ちと、まさか恋するなんて思わなかったからなぁってものが同時に沸き上がってきて、じゅわじゅわ弾ける。炭酸水の中に水着をきて飛び込んだみたい。飛び込んだ先にはアイツがいて、馬鹿みたいに間抜けで、年下のくせして、エロい顔つきで舌を舐めながら腕を伸ばしてくる。重力はそのまま、私をアイツの胸へと放り込み、二酸化炭素が合わさるキスをするのだ。


浮気止めなさいよ馬鹿、馬鹿、馬鹿!

私は胸板を殴り付けながら、本当に泣いてしまえれば、ずっとずっと楽になるんだろうなぁって、こんな下らない妄想に更けていると思うのだ。
だってね、浮気さえなければ、私は、眼前に置かれた購入されたばかりの下着を眺めながら、悩むこともない。悩んだ結果、パンツを穿くタイミングで更に悩むこともないのよ! こんな、恥ずかしい二次元でしか見たことないパンツを自分が着用することになるなんて。
うう、悔しい。けど、好きなんだもん。これが好きってことなんでしょう。今まで悩まなかったことに頭を捻らすのが。それが楽しいのが。これ穿いたら、どんな顔するんだろう。喜んでくれるといいな。


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