馬乗りされ、桜は衣服を切り裂かれる。家に誰もいないことは把握済みなので断末魔のように聞こえる悲鳴も、ハイネは多少煩いと思いながら無視した。


「へぇ、本当にオンナなんだ」
「ひっ!」


鎖骨の下から尖ったナイフの先を突き刺し、谷間を立てに切っていく。包帯で抑制された桜の胸元から、小さな乳房が出てきた。男であれば、肥満体質の人間以外胸の膨らみと言うのはない。桜はどちらかといえば、貧相な体つきをしており、彼女が上半身につけるのは確実に女の胸だった。
誰も触れたことのない桜の胸にハイネは手を伸ばす。


「っ――」


乳房の角を思いっきり揉まれ、痛みに視界を瞑る。偽物出ないことを確認しながら、ハイネは桜の肌に舌を伸ばした。
胸の付け根から乳首に向かって、舌を這わせる。


「ひっ――ぁ、いやぁぁぁぁぁ!」


自分がハイネとセックスをする日が来るなんて妄想、桜は実は一度だってしかことがなかった。この身体だから――と、どこか諦め気味に現実を見ており、現実と差異がありすぎる妄想に浸る程、桜は暇ではなかった。
そもそも、ハイネへの愛はもっと高尚なものであったのだ。殺して欲しい、という歪な愛ではあるが。
そういう妄想をしたのは、どちらかと言えばスオウで。
この前、告白された時から一度だけ未開の地に手を伸ばして自慰行為に浸った。桜が妄想するスオウとの行為はとても甘いもので、少女漫画とかに出てくる処女を初めて失う女の気分になれる妄想だった。
だから、少なくとも、こんな形で自分は何もかも失うのか、というのが信じられなくて、目を見開く。



「いやだ、止めて! ひっぁあ、が」


制止を促しながら乳首を舐める頭を押すと、ハイネが溜息を吐きながら桜の手首を掴み床に投げ捨てたあと、頬っぺたを強打した。


「ひがっ」
「煩いって、イイカゲンニシテ」
「ひっぁああ」


殴られた衝動で咥内が切れたようだ。血がいっぱいに広がっていき、唾液と血液が混じり合った体液が、口角から垂れる。薄汚れた血の色をしており、ハイネはそれを双眸に映し今までにない興奮を覚える。
楽しみを追求するように、ついでに桜の顔をもう片方から殴ると、鼻血がだらだら沸きだして桜の顔は血の色でいっぱいになった。ハイネからしてみれば、黒く蠢く物体に顔が染め上げられていく。


「ぁ、ぁが、ひやぁあ、いたい、いた、い、よぉ」
「興奮してるくせに、桜だって」
「ちがっ! ちがう」
「ウソつくなよ」
「嘘じゃ、あぁあああああぁ!」


抵抗した罰のように乳首を思いっきり噛まれる。
引き千切られそうな痛みに桜は悲鳴を発した。ハイネはその光景を見ながら、さらなる興味関心を抱いたのか、一度締まって置いたナイフを再び取り出し、桜の乳首に当てる。


「ひっ」


ナイフの冷たさに思わず声が漏れる。


「乳首って再生するって聞いたんだけど」


にっこり笑いながらハイネは桜の乳首にナイフを侵入させていく。身長に。魚を捌くように横に切れ目をいれて、じょきじょきと、桜の乳首を切り落とした。


「ひぎゃぁあぁぁぁあいやぁぁぁぁぁ!」


誰にも触られたことのなかった薄い純白の証であるピンクの乳首が切断され、ハイネはそれを面白そうに桜へ見せる。乳首から当然のように血液が溢れでて、切断が完了したときは間欠のように湧き出て、自分の肌に桜の血液が飛んできたので、指先でなぞるように拭き取って血液の香りを嗅ぐ。


「再生するから、大丈夫だって。あ。タベル?」


名案を思いついたように無邪気な態度を取りながら、ハイネは血で真っ赤に染まった桜の咥内に切り取ったばかりの新鮮な乳首を押しつける。
桜は首を振り抵抗したので、空いた方の手で口許を抑え、無理矢理開かせると、隙間から乳首を放り込んだ。歯茎と歯茎と合わせるように、口を押さえこませ、鼻を摘まんでやると、飲みこむ以外の選択肢はなく、虚しくも桜はごくんと喉を鳴らした。


「美味しかった?」
「ひっぁ、わ、わから、な、い」
「味わって食べなきゃダメでしょう」
「ご、ごめんな、さい」


なぜ、自分が謝っているのか判らないまま、桜は反射的に返事をした。
全身が痛い。殴られた顔も。強打した頭も。握られた腕も、切り取られた胸も。触られてもいないのに、既に限界を訴えてくる下半身も。
このまま、一瞬の隙をつくって二階から飛び降りてしまいたかったが、ハイネにそんな隙はない。いや、あったとしても、力の差は歴然としていて、出来ないだろう。


「上はもういいか」


ぼそりとハイネが独り言を漏らして、ゆっくりと恐怖心を与えるように桜の下腹部へと手を伸ばす。
左手にはもちろんナイフが握られており、衣服を先程と同じ要領で引き裂いていく。
違うのは、先程は衣服だけを切るのが目的であったが、今回は、桜の皮膚ごと鋭利なナイフは引き裂いていっているという点のみだ。


「ひやぁあああぁああ、いたい、ぁあ、」
「これくらい我慢しなよ」


蛇が這ったような跡が桜の皮膚に増えていく。
血液が白い肌から湧き出ていて、目を凝らせば肉の可愛らしいピンクだって、しっかり見えた。




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