1









夏は一息を飲むだけで終わる。
夏休みに入り、僕はジルを旅行に誘ってみた。ちょうしに乗っている軽率な行動だったと今ではわずかばかりの反省が入るが、ジルは否定することなくついてきた。
一緒に京都にいき、炎天下の中、寺を巡った。ジルはげんなりとした顔をして、汗を流しながら後ろをついてきた。地味で質素だが、精悍な雰囲気を持つ寺を僕は好んだが、ジルの趣向とはまったく合わなかったらしい。ただ、二日目に乗った人力車の中で、眼前で車を引く人のことを、口角をあげ見ていたのは良い思い出だ。なにが、そんなに面白かったのだろう。嗤笑しているようなところもあったな。
ホテルに帰ると当然のように身体を重ねた。ジルと身体を重ねるとすべてが曖昧にぼかされているような気持ちになるのに、全部を支配されたみたいに、なにも考えなくなる。僕の脳みそがひっそりと従順になるのだ。
僕はその日の朝そことなく母親の事を聞いたが、僕たちが旅行に行く間、彼の両親も海外へ出張に行くということをきき、妙に得心がいった。
そうやって、旅行をして、残りの夏を僕たちはいつも通りの日常を過ごした。
ジルは変わらず僕にリップサービスのような愛をささやいてくる。満足できなくなった僕は、流すように受け止め、この関係を壊す決定打をどこか待っていたような気がする。






それは、ある日突然ではなく、ひそひそと足を忍ばせていたが、僕にしてみれば台風がきたように衝撃的だった。僕たちの関係が終わる音だった。
さよならの指揮はいつもジルが握っている。
決定打となった言葉だ。


旅行から帰ってきて、大学が始まった。後期は前期特有の地に足がつかない浮ついた状態ではなく、皆が手さぐりながら目的を模索し始めていた。僕はいつも通り学校に通い、バイトに行き、帰宅して、ジルと出会う日々を過ごした。勉強している最中、ジルは横から入ってきて僕の邪魔をすると、ゆっくりとキスをして、身体を合せる。満足できないけど、変わらない日常だった。
ジルがあんなことをいうまでは。
十月下旬の出来事だ。
暑さが一斉に退き、寒さが顔を出す季節。ジルは僕の家へとやってきた。大量に出される課題を抱えていると、ジルは僕のことを間抜けだと評価したけど、頑張るのが充葉の良いところだよ、なんて、僕が泣きたくなるくらい嬉しい言葉を告げてくれた。そのまま、いつも通り流されて。頭の片隅で、なんて簡単な人間なんだろうと、蛇足を呟いた。
ジルは僕を抱く。
美しい造形が僕を包み込む。均等に割り当てられた筋肉は艶やかで、生きている人間とは思えない。手首には昔、繰り返したリストカットの痕が残っており、僕はそれを優しく舐めてやった。ジルは嬉しかったみたいで、もっと、舐めて欲しいと言ってきた。だから、僕は言われるがままにジルの手首を舐めた。次第に、手首だけじゃ、物足りなくなったのか、ジルは全身を舐めるよう指示してきた。僕は大人しく従う。背中を舐めて、足を舐めて、手首を舐めて、首筋を舐めて。最後に、陰茎を舐めた。ジルの陰茎は苦くて、口いっぱいに銜え込めない。僕は拙い、けれど、もう慣れてしまった、動きでジルに奉仕する。ジルの陰茎はぐんぐん大きくなり、僕から顔を剥がさせると、僕の唾液を使って後孔を慣らし、挿入した。本来、使われる筈のない器官がジルの陰茎により埋められていく。ジルがすべてになっていく。
僕はジルにしがみ付いた。ジルは僕を揺らした。それから、いったい、何回、身体を合せただろうか。その日は、別れの儀式みたいに、セックスは長く続いた。ジルは僕の後孔に何回も精液を吐き出した。吐き出されすぎた、僕の身体は妊婦さんみたいに膨れ上がってしまい、苦しかったけど、気持ち良くて、僕は涙で顔をぐしゃぐしゃにしながら、ジルの首筋にしがみ付いた。ジルが欲しくてたまらなかった。朦朧とした意識の中をずっと漂っていた。羊水の中にいるようで、いつもの、寂しい間取りが嘘のようだった。時間を忘れて交わりあった。ジルは僕のお腹を愛おしそうに撫でた。爪をたてられ、血が滲み、僕の血を嬉しそうに飲んだ。ジルとずっと一緒にいれるんだって感じた。僕は馬鹿みたいに酔っていた。全部、忘れて、ずっと、ずっと、このままでいたかった。
ジルが最後の言葉を放つ瞬間まで。






「お母さんっ――」





ジルが放った精液の先から僕の身体が腐っていくようだった。
夢の世界から一気に解き放たれ、僕は急激に怖くなった。
ジルはそんな僕のことなんか気にすることなく、寝てしまった。一人、現実に残された僕は、腹の膨らみとか、僕の中に眠る、ジルの姿とか、身体に出来た切り傷とか、すべてが冷静に見えてきて、異常な光景に生唾を飲み込んだ。
達する直前であったのに、ジルは僕の名前ではなく、母親のことを呼んだ。
僕は、自分の中にあったなにかが、崩れていった。
母親の、変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の、変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の、変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の、変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の、変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の、変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の、変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の、変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の、変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の、変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の、変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の、変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の、変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の、変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の、変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の、変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の、変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の、変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の、変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の、変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の、変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の、変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の、変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の、変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の、変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の、変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の、変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の、変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の、変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の、変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の、変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の、変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の、変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の、変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の、変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の、変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の、変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の、変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の、変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の、変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の、変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の、変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の、変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の、変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の、変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の、変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の、変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の、変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の、変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の、変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の、変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の、変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の、変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の、変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の、変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の、変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の、変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の、変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の、変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の、変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の、変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の、変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の、変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の、変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の、変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の、変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の、変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の、変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の、変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の、変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の、変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の、変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の、変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の、変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の、変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の、変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の、変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の、変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の、変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の、変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、母親の変わり、





あの、おんなの、かわり





人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -