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 ジルは僕の下着を難なく取り除くと、ぷるんと顔を出す肉棒に触れる。空気に晒され、すーす、するなんて呑気な事を考えられていたのは数分で、ジルの指先が僕の肉棒を弄くるので、情けない声を出す羽目になる。

「っ――ぁ」
「ふふ、だから、我慢しちゃ駄目だからねぇ、充葉ぁ」
「ぁっ、してなっ」
「うーん、けどぉ、今はぁ可愛いから許してあげる。ふふ」
「や、やめ、じ、る」

 制止を願う声なんて、ジルが聞くことなんてある筈もなく、ジルは僕の肉棒を変わらず弄くる。女性に、弄られたことがない僕の肉棒はうっすら皮を被っている。性的なことに興味関心が薄いんだ、仕方ないじゃないかって誰に言うのでもなく、自分の中で言い訳をする。
 指先でくちゅくちゅと、尿道口を弄くられ、くぱぁと、小さな穴をあけると、そこにジルの長い指が入ってくる。
 さっき、失禁してしまったので、汚いのに、ジルは気にならないみたいで、寧ろ、自分のとは違う性器への好奇心で埋め尽くされているようだ。

「っ――じ、ひゃ、ぁ!」

 尿道口をぐりぐりされる。自分で自慰する時に尿道口なんて射精する時の決め手としてしか触らないから、集中的に攻められると、じわじわと快楽の波が押し寄せる。

「充葉ぁの、ココって可愛いねぇ。ねぇ、充葉ぁん、勃ってきたよぉ、充葉の。ねぇ、見てるぅ」
「いや……ぃ、あ! ジ、ジル!」
「瞳にいっぱい涙溜めてぇ、ココも汁いっぱい出して可愛いよぉ、充葉ぁん。淫乱ちゃんだねぇ。こんなに小さいのに、ねぇ、充葉ぁ、自分がこんなに淫乱だって知ってたぁ」
「しら、知るわけない、だろ!」
「だよねぇ、知らないよねぇ。こんな充葉知っているのオレだけだよねぇ。可愛い、可愛いよぉ、充葉ぁ」

 ジルはそう言って僕の頬へ空いていた手をやると触れ、涙の痕跡を舐めて、そのまま、べろんと眼鏡のレンズの上から眼球を舐めるみたいに涙を吸い取る。

「涙も甘いよぉ、充葉ぁ。ふふ、もうぐちゅぐちゅだね」

 僕を見つめながら言い放つジル。
 頬に触れていた手は僕の肉棒へと帰り、両手を擦り合わせるようにして、揉まれる。優しい動きかと思うと緩急をつけて、扱く動きに変わり、最終的に搾りとるような動きになる。亀頭を少し痛いくらい刺激され、先ほども弄られていた尿道口を止めとばかりに、弄られる。

「ふ、うぅ……、もう」
「我儘言わないのぉ」
「我儘なんて」
「我儘だよぉ、充葉ぁ。もう、止めるわけないじゃない。さっきも言ったでしょうぉ。これは実験なんだって。あまり、余計なこと言うと酷いことしちゃうからねぇ。あ、嫌って顔したねぇ。可愛いよぉ。そう、そういう可愛い顔だけしていてねぇ」
結局、喘ぎ声しか出さずにいろということなのだろう。これ以上、酷いことっていったい何なのだろうか。
「白濁液、とろとろだねぇ。もう、達してもいいのに、充葉ぁ」
「うっ、ふ、あ……ひゃ、ぁ」
「こんなに、どろどろで気持ち良さそうなのにねぇ。どうしてだろう、判るぅ充葉ぁん」

 判るって理由なんて一つに決まっている。いくら気持ちよくて快楽に溺れていても、今の僕にはそれを上回る恐怖が付き纏うから、射精することが出来ないんだ。眼鏡の先から覗くことが出来る、肉棒は痛々しい位ぱんぱんで赤く充血していたとしても。恐怖を上回る決定打がない。
 無意識に震える身体。なんて、素直なんだろうと思う。
 けど、どうやらジルにはそれが気に食わないみたいで、唇にいっぱいつけたグロスを舐めると、眉を細め思案するような顔をする。一瞬だけど、僕の肉棒を弄る手が止み、ジルを眺めてしまった。どんな時でも美しい。
 美しいからこそ恐い。
 ギリシャの彫刻のような完成された顔が幼子のように笑い、今のように全てを諦めたような顔をして無表情になる。
 どこか、遠くにいるような感覚だ。ジルと僕は幼なじみで、彼の家族を覗けば一番、近くにいたのに、何時まで経ってもジルと僕の間には隔たりがある。他者へ対して、隔たりは必ずあるが、ジルに対しての隔たりは、それとは一色違う。

「ジル……――」

 なぜか、愛しい存在を呼ぶような熱の篭った声色でジルの名を呟いてしまった。
 声が鼓膜へ飛び込んだ途端、気を良くしたジルは僕の肉棒を弄る手を再開させた。

「ねぇ充葉ぁ、良いこと考えちゃったぁ」

 得意気に笑う。子供のような、あの笑顔だった。無表情よりかはマシに見える。毒されている。

「な、に、を」
「大丈夫だよぉ、きっと気持ちいいからぁん。充葉はここ使ったことないでしょう。今日は実験で、突発的なことだから用意もなにもしていないけどぉ、大丈夫だよぉ、充葉なら」

 絶対に大丈夫じゃない。勝手なことばかり言う。僕の身体は未だに震えが止まらないというのに。

 ジルは僕の右脚を持ち上げて、股間にその美しい顔を近づける。精巣をちゅうっと吸うと、れろーと僕の雫も舐め取った舌で、肉棒を舐める。

「ふっ、あ、あん」
「ふぉぁ、感じているねぇ、充葉。オレも嬉しいよぉ。けど、これはまだ、本番じゃないけどねぇ。出来れば、充葉にぃ、本番前に一回達して欲しいんだぁ。その方がぁ、楽そうだからぁ」
「や……!」
「嫌じゃないからねぇ」

 齧り付くようにジルは僕の肉棒を咥内へと招き入れる。数分前にジルが僕へ無理矢理させた行為と似ていた。相手はジルであるけど、フェラされている、ということだけは判った。
 肉厚がある舌が肉棒に絡みつく度に、もう嫌だという気持ちが肥大する。
 どうして、ジルなんだろう。
 ジルじゃなかったら、この状況にもそれほど戸惑わなかったかも知れない。じゅわじゅわと攻められる。熱い。熱が燻る。
 恐い。本当に。色々なモノが恐い。
 けど、ジルに舐められているという現実が僕の肉棒を熱くさせるのは確かで……――


「ねぇ、充葉ぁ、イってぇ」

 なんて、決定打を吐きだされて、呆気なく達してしまった。なにが、恐怖を上回るかさえ、僕には判らなかったのに。











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