「遊園地に行くか」と気軽な気持ちで誘ってやると帝はバカみてぇに喜んで、朝から張り切って弁当の準備をはじめた。紅潮した頬っぺたが林檎みてぇになって、可愛いったらありゃしねぇ。抱き潰してしまいたい。セックスに溺れさせてやりてぇが、無茶させりゃ、腰が立たなくなって、遊園地処じゃなくなるからな、我慢だ。だから、あ゛ーー言い訳するなら俺は昨日から我慢してたって話だ。



「んっ……ーーぁ、トラ」


遊園地にきて、天辺でキスすれば、一生涯共に過ごせるなんていう甘酸っぱい噂がある観覧車に乗った。背後に映った夕焼けがシチュエーションを演出していて、一時間あるゴンドラの旅は景色を充分に堪能できる。帝は観覧車に乗った途端、夕焼けばかり眺め、手垢が窓につくほど、景色に夢中だった。俺はそれが気に食わなかった……ーーわけじゃねェ。ハシャギまくった遊園地。ラストを締括るにはもってこいの場所で、景色を落ち着いて眺めることが好きな、まったりとした、この子にとって観覧車の上から眺める景色というのは特別なものだっただろう。
天辺に到着するや否や帝は生唾を飲み込み、上目遣いでこちらを見てきた。噂を昨夜のうちに教えられていた俺はこの子のいいたい事を察し、先ほどのキスをした。
帝の小さい咥内を味わうように、薄い舌を絡ませてやる。吸い付くように、自身の方向へと舌を運んでやると、恍惚な笑みを漏らした。初な奴だ。アア、可愛い。貪り尽くしてやりたいぜ。昨晩から我慢していた理性の蓋が外れ、臨界点を突破する。


「っ、ぁ、帝」
「ふぁ……トラぁ」


ぐじゅぐじゅと唾液を絡ませる。涎が口角から流れてきて、顎を伝った。
服の切れ端から手のひらを侵入させると、帝は驚いたのか目を見開かせた。ヤられるなんて、想像さえしていなかったのだろう。隠微な空気は漂っていたが、遊園地の観覧車の中だ。僅かな抵抗をのぞかせ、俺の胸板を珍しく押し返してくるが非力な力など気にする必要はない。


「はぁっ、ぁ、だめ、トラ。外だよ」
「たまには良いんじゃねェ」
「や、ダメだって」


ダメだ、ダメだ、と言いながら衣服の中に頭を侵入させようとする俺の頭を押した。
聞こえねェよ。
手を振り払い、乳首を舐めてやる。熟れた果実のような色をした乳首は、俺が舐める度に、身体を震わした。


「ふっあ……ひゃっぁっ、だめ、乳首はぁ」
「乳首、ホラよ、俺が舐めてやるだけで」


乳輪を舐めるように乳首を追い詰めていく。歯で甘噛みするように、乳首を掴むと帝は簡単に勃起した。


「勃起してんなぁ」
「ひっあ、ごめんなっさい」
「良いって。な、コッチはどうだ」


手を下半身へのばし、衣服の上から性器を触る。ゆるく勃起したペニスの形が触ってわかり、ニヤリと哄笑するように口を釣り上げると帝は顔を真っ赤にさせた。


「も、止めて。トラ」
「勃起してるけど、どうすんだよ」
「我慢するから」
「今日の服装、肌に張り付いた形だから、立ち上がったら勃起してるってわかるけど」
「う、うう…………」
「抜いてやるから、なぁ。気持ち良くしてやるから安心しろよ」


帝の頭を撫でながら、おでこにキスしてやる。ズボンを下げ、プラスチックで出来た緑色の座席に帝を座らす。観覧車の窓から夕日が入り込んでいて、帝のペニスを照らした。


「スゲェ卑猥」
「ふぁ……んっ、ぁ、言わないでぇ」
「やだよ」


勃起したペニスを咥内に含む。小さい性器から我慢汁が溢れ出ていて、青臭い薫りが鼻腔を過った。
舌で裏筋を這うように舐めてやる。フェラしてやるのは、よく考えれば久しぶりか。


「口、押さえとけよ。前の奴らに声聞こえるぜ」
「うっ、ふぁ……ひゃぁ、ん」


先ほどから聞こえてくる、甲高い声色が帝を脅えさした。両手で口を押さえているが、隙間から漏れている。意味ねぇよ。手のひらを涎でぐちゃぐちゃに汚れてやがるし。頭が良い癖に、こういう時に思考が上手く回らないこの子が愛しい。


「ひゃっぁっぁ……」

イきそうなのか、身体を痙攣させる。亀頭を舐めて、睾丸を手のひらで包み、帝が吐き出した、精液を飲み込み。他の奴の精液なんて、キモチ悪くて飲み込めねェが(そもそも鍛えられねぇか)この子のだったら、難なく飲める。咀嚼する音を聞かせる。帝は俺が自身が吐き出した精液を飲み込んだのを気にして顔面を蒼白させた。



「僕の、汚いの、なんか舐めてもらったのに、飲み込んで、もらって、あの大丈夫。ごめんなさい」
「美味しかったぜ」


笑ってやると帝は安堵したのか、にっこりと笑みを作った。ああ、爆発しそうだぜ。この子の胎内に入り込んでやりたい。我慢するんじゃなかったぜ。観覧車の中で一発爆発させてやりたいけど、残念ながら、終点は僅か先だ。


「パンツあげろよ、帝」
「あ、うん」

慌てて帝はズボンを上げる。
終点へ到着し、扉が開かれ、外へ出た。室内は青臭いだろうぜ。次のカップルには若干わりぃ、ことをしちまったと苦笑いしながら、帝の手を掴む。


「帰るぞ」
「あ、うん、あ、あのトラ」
「なんだ」
「ト、トラは良いの、その、しなくて」




夕日で真っ赤に顔が染まった帝は眸を潤わせながら、俺を見つめた。
俺だって限界だぜ。勃起しそうなペニスを屈強な精神力で押さえてんだよ。



「ホテル行くか」


囁いてやると、帝は恥ずかしそうに笑った。